錦まつりコンサート

立川市錦学習館で毎春開催される錦まつりコンサート。テノールの鈴木准さんと一緒に出演させていただきました。
前半に演奏した晩年のモーツァルト作品は、昨年大阪いずみホールでの演奏会の再演でしたが、順番を少し変え、今日はピアノ・ソナタKV545でコンサート開始。「夕べの想い」「クローエに」「春への憧れ」と続き、フリーメーソンのための小カンタータ「無限なる宇宙の創造者を」を鈴木さんの凛とした美声で披露。澄み切った透明感、憧れ、童心などモーツァルト晩年作品の魅力について礒山雅先生の解説とともにお楽しみいただきました。
礒山先生が昨年邦訳出版された「クリストフ・ヴォルフ:モーツァルト 最後の四年 栄光への門出」は、これまでのモーツァルトの「晩年不幸論」を覆す斬新な書です。この本を拝読して以降、自分のKV500番代を弾くときの気持が微妙に変化したように感じています。
後半は私のソロ「トルコ行進曲」で始め「後宮からの誘拐」から”コンスタンツェよ”、「魔笛」から ”この絵姿は魔法のように美しい” 。
そしてシューベルト歌曲集「冬の旅」から”菩提樹” ”辻音楽師” 
ブリテンの歌曲集「冬の言葉」から”聖歌隊長の埋葬”、武満徹の「小さな空」というプログラム。
鈴木さんのお話によると、ブリテンの歌曲集「冬の言葉」は、シューベルトの「冬の旅」に触発されて作曲されたのだそうです。当時、イギリス人が敵国であるドイツのリートを歌うことは非難の対象となったそうですが、平和主義者のブリテンはあえてシューベルト「冬の旅」の演奏会を開いていたとのこと。
「”聖歌隊長の埋葬” でブリテンにはまった」という鈴木さん。抒情と幻想に満ちた素晴らしい曲でした。
アンコールは、ブリテンがイギリス民謡をもとに作曲した「サリー・ガーデン」など。
爽やかでありながら、密度の濃いプログラムとなりました。
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