セレモア文化財団主催のロイヤルハピネスコンサートがセレモアコンサートホール武蔵野で行われ、モーツァルト、シューベルト、ショパンなど弾かせていただきました。
今日は、3月3日ということでお客様のお席にはすべて女性の皆様。さながら「音楽の女子会」となりました。
テノールの鈴木准さんが、颯爽と登場。澄んだ美声を空間に満たしてくださり、楽しい”ひな祭り”の一日となりました。
弾いていて嬉しかったのは、シュタイン・モデルとヴァルター・モデル(写真)のフォルテピアノ2台でモーツァルトのアリアの伴奏ができたことです。
昨年暮れにリリースのCD「優雅なるモーツァルト」では、2台の聴き比べの楽しさを1枚のCDに収めたのですが、この2台を並べて歌の伴奏で使うのは初めての経験でした。
モーツァルトの「後宮からの誘拐」から ”コンスタンツェよ!” をシュタインで。
そして「魔笛」から ”この絵姿は魔法のように美しい” をヴァルターで伴奏。
本来はどちらも現代ピアノで伴奏する予定だったのですが、昨日リハーサルをしていてふっと閃き二人で試し、急遽楽器を変更。「せっかくここにあるのだから使いましょうよ!」ということになりました。その結果、あまりにしっくりと響きがはまり、感動!
古楽の世界での経験も豊富な鈴木さんは、現代楽器(442Hz)からフォルテピアノ(430Hz)に移ってピッチが変わっても全く問題なくすっと音楽を作れてしまう方でした。
「後宮からの誘拐」は、26歳のモーツァルトがウィーンに移り住んですぐの頃作曲したオペラ。当時のトルコブームが曲の中に盛り込まれており、短調と長調、フォルテとピアノが絶えず入れ替わります。このトキメキを表すベルモンテの歌が、当時モーツァルトが演奏会のときに使っていたシュタインのはじける音色にピッタリ!
またモーツァルト最晩年のオペラ「魔笛」は、当時モーツァルトが愛用していたヴァルターで弾くと深い音色がタミーノの愛情深いアリアに寄り添ってくれます。
どちらもドイツ語で書かれたジングシュピール(歌芝居)で、言葉と音楽の綾がウィーンの楽器に驚くほど合うのです。天才ピアニスト、モーツァルトが紛れもなく「フォルテピアノを弾きながら」オペラを作曲したことを実感させてくれました。
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