リサイタル@サントリーホール・ブルーローズ

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モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会vol.2をサントリーホール・ブルーローズで開催させていただきました。今回は、4曲のハ長調ソナタに「キラキラ星変奏曲」を加えたハ長調の世界!アンコールも「グラスハーモニカのためのアダージョKV356」。これだけ一挙にモーツァルトのハ長調が並ぶコンサートも少ないのではないでしょうか。
モーツァルト9歳、21歳、26歳、32歳、それぞれの時期でフォルテピアノへの習熟、精神の円熟、作曲語法の発展がみられます。KV279、309、330、545は、同じ調でありながら、全く異なるキャラクターの4曲のソナタです。今回、並べて弾くことにより、その違いをあらためて感じました。
古典調律が施されたモーツァルト時代の鍵盤楽器では、とてつもなく複雑な調が使われることは殆どありませんでした。例えばワーグナーをヴァルターのフォルテピアノで弾いたりすると(もちろん音域が足りないのは言うまでもありませんが)、楽器がハーモニーについて行けず、響きが反抗して唸りを起こしてしまいます。
そんな中で、楽器を生かしつつ、自然に移ろうように、ある時は大胆にハーモニーを変化させたモーツァルト。曲がハ長調で始まりハ長調で終わると言っても、途中様々に転調し、色を変えていきます。たった一つの音符を踏み外せば、振り落とされてしまうスリルと落とし穴が五線譜のあちこちに隠されており、長年弾いてきても「油断一瞬、怪我一生」 のソナタたち!と言えましょう。
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ハ長調ソナタの第2楽章は、穏やかなIV度調であるヘ長調や属調のト長調を選んだモーツァルト。
この歌心を表すために、今回もウィーンの名器、ベーゼンドルファーで演奏させていただきました。
そして前回の第1回は、ベーゼンドルファー・Model インペリアルでしたが、今回はNEWモデルでありますModel280VCを運び入れての演奏会。” 現代のベーゼンドルファーの響き” を披露させていただきました。
中野坂上のショールームからサントリーホールまでの道のりを完璧な温度・湿度管理で丁寧に運んでくださった共立ラインサービスさんに感謝です。おかげさまで「生き物」の要素が強いデリケートなベーゼンドルファーにも拘わらず、移動に負けず力を発揮してくれました。
VC280は、ベーゼンドルファー独特の温かい音色と音の立ち上がりの良さの両立が実現した楽器として、アンドラーシュ・シフ氏、パウル・バドゥラ・スコダ氏らに絶賛されています。今夜の楽器は、日本に入ってきた最初で唯一の楽器です。初めてVC280をお聴きくださった方からも「次回の演奏も楽しみにしています。その折のピアノ、私の希望は280VC!インペリアルもまろやかで豊かな音ですが、280VCの豊かで締まった音色を是非聴きたいと思っています。」 などのご感想をいただきました。
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ご多用の中、ご来場くださいました皆様、そしてベーゼンドルファーMODL280VCのお披露目ということで大変お世話になりましたベーゼンドルファー・ジャパンの皆様に心から御礼申し上げます。

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