ニュー・イヤー・コンサート

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ウィーン・サロン・オーケストラのニュー・イヤー・コンサートがたましんRISURUホールで開催され、モーツァルトのピアノ協奏曲第27番を共演させていただきました。

ヨハン・シュトラウスIIの「皇帝円舞曲」でコンサート幕開けとなり、出番待ちの私の身体中にウィーンのリズムが伝わってきました。

今回も昨年秋のリサイタルに続いてベーゼンドルファーのニューモデル、280VCを会場に運び入れていただいての演奏会。ベーゼンドルファー特有の柔らかな音色に加え、音の立ち上がりが速く、敏捷でかつパワーと輝きがあり、コンチェルトに最適な楽器でした。

ウド・ツヴェルファーさん率いるウィーン・サロン・オーケストラとは4度めの共演。顔なじみのメンバーも増え、室内楽のような親密なやりとりの中で演奏させていただける幸せを感じています。「お互いの音楽に耳を傾け、響きを味わい、息を合わせる。」このアンサンブルの悦びと音楽を見つめる眼差しを、毎回ウドさんたちから学んでいます。

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「ウィーン時間」という言葉があるかどうかわかりませんが、ゆったりと優雅な時の流れの中で音楽を紡いでいる、そんな空気をメンバーの息遣いから感じました。

ウドさんがプログラム最後の曲の後、客席に向け「TACHIKAWAのみなさん、あけましておめでとう!」に会場はドッと沸き、アンコール≪ラデツキー行進曲≫で手拍子が鳴るころには、会場が完全に一つになっていました。

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今回のディーヴァ、ヘーゲ・グルターヴァ・チョンさん(私の右横)は、ノルウェー出身の美女。〈こうもり〉のアデーレなどのプログラムを気品ある歌声で演じ、大いに観客を魅了しました。このヘーゲさん、今回のジャパン・ツアー中、先週の名古屋公演の後に道で転び、大怪我をしたそうです。胸を怪我し、顔を15針縫い、指は骨折。それなのに、「貴方のモーツァルトが聴けて私は幸せ!それに素晴らしいオーケストラと一緒に歌えて、今日は人生で最高の日!」と舞台袖で涼しい顔で指の包帯を取り、何事もなかったかのように舞台で微笑みます。

「痛くなかったの?」と心配する私に、「日本の優秀なドクターにちょいちょいと縫ってもらったから私はラッキー。しかも歯が折れていたら降板だったけれど歯も目も全く無事だったのよ!縫った右のおでこは髪で隠せるし・・・あたしってなんて幸運だったのかしら。」と、ころころと笑いころげています。このポジティブな姿勢には驚愕!!心底、恐れ入りました。私だったら即、帰国していたかもしれません。ヘーゲさんはキャリーケースを持ちながら歩いていて転んだそうです。皆さまもどうかお気を付けください。(旅の多い私も 注意したいと思います。)

そして白い妖精のようなバレリーナ、二コラ・マローヴァさんは、2日前の新宿公演では、高熱の中での出演。病の中でオッフェンバックの「カンカン踊り」を踊るなんて!普通じゃありません。

今回来日の女性陣のパワーと底力に脱帽した次第です。

それぞれが音楽への愛にあふれ、ステージに人生を賭け、自分の置かれた状況に明るく全力で向かい、互いを慈しむ。。。そんな姿に接した2017年弾き初めでの濃い時間でした。

お寒い中、ご来場くださいました皆様、そして演奏会にご尽力くださいましたすべての皆様に心から御礼申し上げます。

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