「想い出」に寄せるコンサート

国立の一橋大学の前の通りは、通称「大学通り」ですが、毎年春の桜のシーズンは、「さくら通り」と呼ばれます。
満開の今日、 ガーデン会館国立 で、「ベーゼンドルファーコンサート~想い出に寄せて~」というタイトルで演奏させていただきました。

シューマンの「追憶」、バッシュの「想い出」、など、過去に思いを馳せるような小品を集めてみました。
夜のとばりが降りてきて、ノスタルジックな想いにふけったり、ふと昔のことを思い出したり・・・という経験はどなたにもあることと思いますが、ロマン派の作曲家たちは、そんな記憶のシーンを音にすることが得意です。
特に夢想の作曲家、シューマンは、縦糸と横糸が織りなすような内声で、心の奥深いところのつぶやきを音楽にしています。親友メンデルスゾーンの命日に寄せ、「想い出」と名付けた素敵な小品をつくり、「子供のためのアルバム」に入れています。
あまり演奏されることのない曲ですが、とても好きな曲のひとつで、これまで何度も弾いてきました。
先日、コース試験の学生が「課題曲が出ました」とレッスンに持ってきたのがこの曲で、驚きました。およそ「課題曲」というイメージからは程遠かったからです。でも小品ではあっても、センス、音色、テンポ感など、その人それぞれの個性が出る曲でもあることにあらためて気づきました。

バッシュは、ラトビアの作曲家。
ラトビアではヴィートールズという作曲家が音楽院の名前にもなっているほど有名で、バッシュの名前は、ラトビアでもあまり知られていませんが、バッシュの「想い出」は、とても素敵な曲です。
ニ長調の明るさの中に、微妙なうつろいと寂しさが見え隠れする小品です。
楽譜はまだ日本で出版されていません。
私の「ノスタルジア」というCDのアルバムに入れていますので、お聴きいただければ幸いです。

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