フランツ・リスト、そしてピアノ

国立音大大学院音楽学の横井雅子先生のクラスのFDが行われ、ゲストとしていらした藝大教授の渡辺健二先生の講義をお聞きしました。

「リストの革新性」と題した90分のお話。

渡辺先生は、藝大時代、松浦豊明先生クラスの先輩でした。その後、コンクールの審査員席などでご一緒させていただいたりすることはあったのですが、90分たっぷりとお話を聞く機会は無く、ありがたい時間でした。

「演奏はエビデンスのいらない科学である」の言葉で始まり、演奏家としてのスタンスと研究者としてのスタンスの違いを明示されました。

作曲家として、ピアニストとして、宗教家として、社会活動家としてのリスト。
様々な面から「人間、リスト」を解説し、大学院学生たちにもわかりやすく「リスト像」を結んでくださいました。

夜は、楽器学資料館において、太田垣至さんによる「ピアノについてのシンポジウム」に参加。アップライト・ピアノの始まり、ブロードウッドの歴史的変遷、ウィーンナーアクションとイギリス式アクションの違い、アクション製作の実際など、豊富な資料館の楽器たちを活用しながらのお話は、とても有意義なものでした。デモンストレーション演奏は今井顕先生。離れて聴くことで自分で弾いているときとは異なる響きや特徴を感じることができ、とても勉強になりました。

大学外の方も参加できる催しのため、隣には「古いピアノに興味があるの」という小学生の女の子。楽器を見つめる目が生き生きしていました。

残念なのは、ピアノ科4年生の音楽会が講堂で行われており、ピアノ科の学生、先生方は、ほとんど参加できなかったこと。

秋は、充実した催しや公開授業、音楽会など重なることも多く、私自身、身体が3つあったら全部行きたい、と思うことがよくあります。情報をあとから知ったり、慌ただしくしているうちに終わってしまったり・・・。感動や学びの機会を逃さないよう、常にアンテナを張っていたいと思います。

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