大阪フィルハーモニー交響楽団 第51回定期演奏会

サントリーホールで行われた大阪フィルハーモニー交響楽団の第51回東京定期演奏会にお伺いさせていただきました。

尾高忠明先生の精緻なタクトで始まる武満徹の「トゥイル・バイ・トワイライト」。武満の神秘的な響きによって、サントリーホールの空間と天国が結ばれるかのようでした。1987年に亡くなったアメリカの作曲家モートン・フェルドマンへのオマージュ。静かな哀悼の響きで終わります。綾織(トゥイル)のタイトル通り、音が色彩となって織りなされ、時折見える輝きの中で優しい情感があふれていました。

神尾真由子さんをソリストに迎え、ストラディバリウス1731年製「ルビノフ」でブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。薄いベールに包まれたような音色が印象的。本来、官能的、ロマン的な曲ですが、神尾さんは、情に流されず現代的な鋭さでとらえ、アンコールのパガニーニのビルトォジティで本領発揮。

最後のエルガーの交響曲第1番は、尾高先生のエルガーへの共感が、音の輪となって広がっていきました。嵐、風、川面など、イギリスの風景が目の前に広がるかのよう。第2楽章のフルートの音色が美しく耳に残りました。最終コーダの壮麗な伽藍の響きが消え、拍手に応えてカーテンコールに出てこられた尾高先生。拍手を制して仰ったのが「このサントリーホールは素晴らしい音響です。しかし私達の大坂フェスティバルホールも素晴らしい会場です。」

「みなさん、大阪にも来てくださいね。」という先生のメッセージだったのかもしれません。

尾高先生とモーツァルトのピアノ協奏曲第23番を共演させていただいてから1年。
温かく、知的で、ユーモアあふれるマエストロのご指導を思い出しました。

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