フォルテピアノとバロックチェロによるベートーヴェン

アミューたちかわ小ホールで行われた「楽しいクラシックの会」。
一昨年の10月、「久元祐子の世界」ということで演奏させていただきました折、お世話になったスタッフの方たちのお顔も見え、懐かしかったです。

今回は、渡邊順生先生の1795年製フォルテピアノと花崎薫さんのバロックチェロによるベートーヴェンプログラム。
初期、中期、後期のソナタ+魔笛の主題による変奏曲。
聴きごたえ十分の、まさに「楽しいクラシックの会」でした。

最初に音が鳴りだしたとき、現代ピアノの音い慣れているお客様は、おそらく全員
「音が小さい!」
と感じられたと思います。でも、礒山先生のお言葉どおり、
「耳をすませば心が澄む」
状態に入ると、かすかなニュアンスの変化や音色を聞き分ける聴覚が活躍しだして、フォルテピアノとバロックチェロの豊かな表現力の世界に引き込まれていきます。
バロックチェロのガット弦のまろやかな音色は、まさに心の琴線に直接語りかけるようでした。

フォルテピアノは、ピアニッシモでの繊細な表現はもちろんですが、フォルテの迫力という面で、現代ピアノより音量は小さいはずなのに、テンションがすごく高く、興奮を誘うようなフォルテッシモもリズミカルな表現もクレッシェンドのかけ方もチェロの響きと相まって効果倍増。
興奮、憧れ、ユーモア、、、さまざまなベートーヴェンの表情の息遣いが直に伝わってくるようでした。

終演時間は、9時24分。
響きも時間もベートーヴェン時代に帰ったような一晩でした。

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