チェンバロの響き@深大寺

調布国際音楽祭2017の目玉公演の一つ、深大寺でのフランチェスコ・コルティ氏のチェンバロ・リサイタルに伺いました。
鈴木優人氏をエグゼクティブ・プロデューサーに迎えた調布音楽祭が、5回目の今年「国際」の文字が付き、外来アーティストを含めた大きな音楽祭に輪が広がったとのことでした。
深大寺の境内近くの「湧水」で深大寺蕎麦をいただいてから散策。しっとりとした緑が美しく、そよ風が心地よく、水車がゆっくりと回っています。風情ある深大寺の自然を満喫させていただきました。
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プログラムはイタリアものが中心。1段鍵盤のイタリアンチェンバロを使い(梅岡俊彦さんによる調律)、パレストリーナからフレスコバルディまで、クレモナの名手により、チェンバロ音楽の歴史を俯瞰する濃密な1時間でした。マックの「風変わりな協和音」、フレスコバルディの「不協和音のためのカプリッチョ」など音楽の潮流の中での縦糸、横糸が交錯し、不思議な音空間が広がりました。スカルラッティの「フォリア」、フレスコバルディの「パッサカリアによる100のパルティータ」など超絶技巧の曲を真近の距離から拝聴でき、手に汗握る臨場感でした。
普段入ることができない深大寺本堂を、音楽の演奏と愛好家の聴取のために開放してくださる温かなお人柄のご住職ご夫妻にもお目にかからせていただくことができ光栄なひとときでした。演奏前にご披露くださった「声明」は、本堂の空気を清め、そこに集まる人々の気が一つになる瞬間に感じました。この「声明」は、10月に浜離宮朝日ホールでの公演が予定されています。
それにしても見事な美しい本堂で、2本の和蝋燭の炎が揺らめく中で聴くチェンバロの音は、幻想的です。音が戯れ、揺蕩い、飛び跳ね、捻じれ、飛翔しながら宙に消えていく様が見えるようでした。
水の神である深沙大王をまつった深大寺が開かれたのは733年。平安時代に天台宗に改まり、現在に至ります。平成29年に、深大寺ご本尊の釈迦如来像(白鳳仏)が国宝に指定され、演奏会の後、そのお姿を拝見させていただきました。静かに微笑まれたお顔、そして凛とした優雅なお姿を拝ませていただき、最高の午後のひとときとなりました。

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