アンドラーシュ・シフのバッハ平均律

紀尾井の室内楽 VOL・32で
アンドラーシュ・シフのバッハ、平均律の第2巻を聴きました。

シフは、普段ベーゼンドルファーを弾くことが多く、今回もベーゼンドルファーを持ち込んで弾くのかと思っていましたら、
「シフさんサイドからウチにレンタルの依頼は来てないんだよ」
というベーゼンドルファーのスタッフからのメール情報が事前にあり、そのとおり、今回は、スタインウェイでのバッハでした。
普段ベーゼンドルファーを弾くことが多いから、ということにもよるのかもしれませんが、シフの音色は、優しく美しく柔らかです。
時にねっとりした感が強く、あえてスタインウェイのキレの良さを使わないような箇所もありました。

それにしても集中力と構築力はさすがで、ヘンレ版で指使いを担当されただけのことはあり、こまかなフィギュレーションも考え抜かれていました。
「神々しいバッハ」像ではなく、人間味が感じられるバッハ像が、現代を代表するピアノによって現前されているように感じた晩でした。

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