宮中・雅楽演奏会

能や歌舞伎は、チケットを買ったり、いただいたりして見に行く機会があるのですが、雅楽は、今まで馴染みが薄く、どんな音楽なのか、どんな雰囲気の演奏会なのか、興味津々でうかがわせていただきました。

皇居の受付で、身分証明書を提示し、会場に入ります。
砂利がしきつめられた客席、釣り太鼓や箏が並ぶ舞台は、整然とした中にも華やかな雰囲気が漂います。
大きな半紙に演目が書かれ、それをめくりながらの進行です。
笙や篳篥などの音が鳴り、いよいよ始まり。
自分の体の中のDNAのどこかが、遥かなる遠い昔の情景を蘇らせてくれるような不思議な感覚にとらわれます。
ずっと西洋音楽をやってきた自分にとり、リズムも美学もおよそ対極にある世界なのだろう、と思い込んでいたのですが、いくつかの共通点があり、驚きました。
管弦(器楽合奏)には、壱超調、平調、双調、黄鐘調、盤渉調、太食調の6つの調子があるそうで、今日の演奏会の始まりの曲である黄鐘調音取(おうしきちょうのねとり)は、洋楽でいえばA(ラ)の音に相当する音を基音とした律旋(りっせん)の調子だそうです。
たしかに、Aの響きで荘厳に始まり、笙、篳篥、笛が音頭をとり、そのあと鞨鼓、琵琶、箏が奏でていきます。
調は、まさに西洋でも調であり、基音は、主音に相当します。
また、左の先頭に座る奏者がリーダー格というのも、オーケストラのコンサートマスターに相当し、皆をリードして演奏が進みます。
皇居で衣紋係をされておられるS様が、いろいろと楽器や奏者や衣装のことを教えてくださり、興味深く演奏会を楽しませていただきました。

前半の管弦に続き、後半は、舞楽を2曲。
舞楽は、中国系の左方の舞と朝鮮系の右方の舞に大別されるそうです。
1曲目は、天皇ご元服の後、宴に演奏された四人舞。
最後の演目は、「長保楽」という一条天皇の長保年間に作られた曲。
盤絵装束に冠を着用した美しい色合いの衣装でした。

古式ゆかしき世界。
すべての所作が美しく定められていて、立ち居振る舞いから舞台への出方、目線、仕草など伝統の中から生まれ、受け継がれてきた美しさがあります。
ヨーロッパで演奏会を開き、雅楽のことや日本の音楽のことを尋ねられ、教科書で読んだことのうろ覚えで答えていた自分が恥ずかしくなりました。
自分の言葉で、自分の国の伝統を語れるようになりたい、と思いながら、皇居をあとにしました。

コメント

  1. zaidan より:

    四年に一度、浅草公会堂にて
    宮内庁式部職楽部が出演する雅楽公演が開催されます。
    ぜひ、こちらにもお越しください。
    日時:平成24年2月5日(日)
        午後5時30分開場 午後6時開演
    場所:台東区立浅草公会堂
    出演:宮内庁式部職楽部
    入場券:指定席(1階席・2階席)4,000円
         自由席(3階席) 3,000円
    ※未就学児入場不可
    演目:
    管絃 盤渉調音取(ばんしきちょうのねとり)
        青海波(せいがいは)
        朗詠 松根(ろうえい しょうこん)
        越殿楽(えてんらく)
    舞楽:
       左舞 春庭花(しゅんでいか)
       右舞 貴徳急(きとくのきゅう)
           八仙(はっせん)
    入場券発売所:
    チケットぴあ(0570-02-9999/Pコード 154-193)
    東京文化会館チケットサービス(03-5685-0650)
    台東区立浅草公会堂
    台東区役所9階 2番にぎわい計画課
    台東区芸術文化財団事務局
    お問合せ:
    公益財団法人 台東区芸術文化財団
    TEL:03-5828-7591(平日9:00~17:00)
    詳細は↓
    http://www.taitocity.net/taito/zaidan/news/news20120205.html