ウェールズ弦楽四重奏団@第一生命ホール

第一生命ホールで開催された「ウェールズ弦楽四重奏団」の公演に伺いました。ベートーヴェン全16曲の弦楽四重奏曲全曲のチクルス第2回。プログラムは「第9番op.59-3 ラズモフスキー第3番」と「第15番op.132」

冒頭の神秘的な響き、そして4本の弓に導かれるようにベートーヴェンの世界に引き込まれました。

響きの調和から生まれる美しさ。肌理細やかに仕立て上げられた織物のような精緻な音楽づくりに感銘を受けました。
桐朋学園の学生時代にカルテットが結成され、その2年後にミュンヘン国際音楽コンクールに堂々3位入賞の快挙。メンバーは﨑谷直人、三原久遠、横溝耕一、富岡廉太郎の各氏。変幻自在に多彩な表現を魅せてくれたヴァイオリン、深い音色で奥行きと香りを感じさせてくれるヴィオラ、生き生きした躍動とリズムを伝えてくれるチェロ。ベートーヴェンのカルテットがこれほど直に迫ってくるのは、やはり各人の技量の高さと密なアンサンブルの力でしょう。

後半の第15番は、ベートーヴェンが交響曲『第9』を作曲した1824年の翌年に作られたカルテット。4本の弦だけとは思えない壮大なスケールと高揚感が迫ってきました。
ベートーヴェンの心を抉りだそうとする若者の果敢な勇気に拍手!
そして特筆すべきは、第3楽章のピンと糸が張り詰めたような静謐な祈りの世界。会場は水を打ったように響きの波動に吸い込まれていきました。

黒づくめのスマートな衣装も彼らの切れ味のよい演奏とマッチ。終演後、楽屋にて。演奏後の「いい顔」の4人!

今後のさらなる飛躍と輝きを願っています。

銀座に出て来年2月7日開催予定の対談コンサートの打ち合わせ。超多忙な小宮正安先生にお目にかからせていただきました。
ベートーヴェン生誕250年関連のイベントということで、先生のお話、私との対談、そしてピアノ独奏。近日中にチラシをHPにアップさせていただきます。
ベートーヴェンのカルテットの響きが心に残る中、風月堂でベートーヴェン談義が続きました。
なんだか対談をすでに終えてしまったような盛り上がり?!

イルミネーションが始まっている銀座の華やかな夜道を少し歩いて帰路につきました。

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