2021年、最初の1週間が過ぎ、緊急事態宣言が再発令となりました。
収束を祈りながら、籠って練習する日々が続きそうです。
今年の弾き初めもバッハでした。
《ゴールドベルク変奏曲》《トッカータ》《前奏曲とフーガ》。
天に向かう祈りに満ちた作品は、救済の音楽でもあります。
弾き手に精神の安定をもたらしてくれるバッハの名曲に感謝しました。
ところで、お正月聴取した録音で仰天したのは、巨匠フルトヴェングラーのピアノ演奏でした。曲はバッハの《ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調》。1950年夏、マエストロ64歳、晩年の演奏です。華麗で軽やかなチェンバロ演奏が耳に染みついた私にとって、現代ピアノで弾くレガート奏法のバッハは、重厚そのもの。
フルトヴェングラーは、ウィーン・フィルとともに情熱的でロマンティックで自由なバッハを繰り広げます。ロマン派の先駆け精神とドイツ魂を体現したベートーヴェンの交響曲を指揮するのと同じ指から発出されていることがスピーカーからもひしひしと伝わってきました。
グレン・グールドの同曲演奏と比べると実に対照的。グールドが表出する音の粒立ちとマルカートのテクニックは、情念のフルトヴェングラー演奏とは対極にあります。同音反復の小気味よさと生き生きしたリズムは、まさに天才のなせる業!
「バッハ」という音の素材を、全く違うアプローチでとらえた二人。
新年早々、あらためてバッハの宇宙の大きさを感じました。
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