「学習するモーツアルト」

「学習するモーツァルト」 ― 今度のCDのタイトルです。
モーツァルトとヨハン・クリスティアン・バッハ。
モーツァルトがソナタを書くとき、大きな影響を受けた2曲を、いわばお手本となったバッハ・ジュニアの作品と並べるプログラムです。

ピアノは、献身的に仕事をされる調律師さんのおかげでどんどん良くなってきて、自分と楽器との距離も極限まで縮まったところで最終日。
ピアノが絶好調のときに、お別れ、というのもつらいものがありますが、ピアノ弾きの宿命でもあります。
今回の録音では5オクターブの範囲でしか鍵盤を使わなかったので、調律のTさんは、ホールのために残りの音域を調整してから帰られるとか。
ピアノを愛するマイスター精神に脱帽です。

帰路、subito piano、即興的な装飾、オペラのような節回し、緊張感のある弱音、などいろいろな箇所が頭と耳に蘇ります。
ホールの前には田んぼが広がり、ちょうど田植えが終わったばかりの緑が美しい風景です。
この緑は録音中の私たちにとって救いの色でした。風にそよぐ緑は、理屈抜きに気持ちが安らぐのです。この緑の苗が黄金色に実る頃、CDも出来上がる予定です。

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