シェメッリ賛美歌集

今月末にリューネブルクで開催される国際ハーマン・コロキウムで研究発表をされるドイツ語の宮谷尚実教授。頭脳明晰なのに、チャーミングなお人柄。「なおみん先生」と呼ばせていただいてます。そのなおみん先生が研究発表の最後に使う演奏動画を撮影するため、アルトの加納悦子先生の伴奏をさせていただきました。

ドイツ語の講義、同時通訳、翻訳、研究・論文執筆などドイツ文学プロフェッショナルの宮谷先生。そしてドイツ歌曲、オラトリオを中心に日本を代表する声楽家として活躍されている加納先生。

ドイツ語のディクションについて、日本語への翻訳について、言葉をどう音に割り振るかについて、等々、この2週間、お二人の丁々発止のやりとりが続き、本当に撮影実現までこぎつけることができるのかしら?!と心配になりましたが、無事、議論終結→3人集結→撮影完了と相成りました。

「雅(MIYABI)号」というニックネームで呼ばれている私のチェンバロも、池末隆さんの調律で典雅に響いてくれました。礒山雅先生、天国から聴いてくださっていたでしょうか。

ドイツの哲学者ヨハン・ゲオルク・ハーマンの切り口からアプローチする賛美歌。当初、素朴で家庭的な演奏をイメージしておられたなおみん先生ですが、加納先生によって「芸術歌唱」と変容しました。

私のチェンバロ・クラヴィコードの通奏低音譜はト長調にしていますが、バロックピッチでソの音は、現代のピッチではソのフラット。完璧な絶対音がある加納先生の楽譜は変ト長調に書き換えられており、細切れに息継ぎをしない早めのテンポでいきたい!と加納先生。

子音の発音の立たせ具合など、なおみん先生の指摘によって動画が仕上がっていきました。「墓」という言葉一つとっても前後の文脈からポジティヴに捉える加納先生と、明るい音色に抵抗を感じるなおみん先生。ドアの外で調律の池末さんが「キリスト教では、死は凱旋なんだ」と呟いていたり・・・。解釈についても議論が飛び交いながら、撮影が進み、最後になおみん先生の「はいOK!」で終了。

「おなかすいたわね。」の加納先生の一声で、ドイツ語どっぷりの2時間からイタリアンの陽気なお店へ移動。

「あんなに笑ったランチも久しぶり」と夕方加納先生がメールをくださるくらい、緊張が弾けた後のイタリアン・ランチは格別でした。

コメント