古典聲明と現代の創作音楽

北海道の寒さから戻り、東京は汗ばむくらい。

さらに今日は、音楽情報研究法・博士特別演習合同授業(大学院FD)として「古典聲明と現代の創作音楽」と題した熱い特別講義が繰り広げられ、オンライン聴講させていただきました。

聲明は、仏教のお経に旋律をつけて唱えるものですが、その楽譜がどのようなものなのか、実演を交えてご講義くださいました。道場を清める「散華」(花を散らす)の後唱えられる「雲雀返し」(雲雀が大空を舞い、さえずる様子)に続いて太鼓とともに唱えられる般若心経。マイクを通してでもその振動で心が震えましたので、合唱スタジオで生で参加できた人たちの感動はいかばかりかと想像に難くありません。

仏教界の太鼓の達人としても知られる塚越秀成先生。魂に直接訴えるダイナミックなリズムに体内の温度がさらにヒートアップ。

さらに、ゲスト講師の佐久間秀紘師が「法螺貝」について詳細にご講話くださいました。法螺貝は戦乱に使われるものというイメージしかなかった無学な私ですが、本来、煩悩を鎮める役割を持つ法具だそうです。修験道においては、旋律系によってどの所属の修験者(山伏)であるのかわかるのだとか。法螺貝の「音程」を意識したのも初体験。

最後に、聲明《海霧讃歎(うみぎりさんだん)》が実演されました。東日本大震災において大切な人を亡くされた方の詩歌を元に作曲された現代の創作音楽です。ここでは、天台宗と真言宗の聲明が重ねて使われています。異なる宗派の聲明を重ねるというのは、常識破りのことだそうですが、そこに宗派を超えて人々の心の哀しみに寄り添う大きな御心が重ねられているように感じました。作曲家の宮内康乃氏も会場にお見えになり、作品についてお話しくださるというサプライズ。

音楽学の横井雅子先生の斬新な企画に、脱帽と感謝の90分でした。

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