神戸市室内管弦楽団第157回定期演奏会

「田園をゆく、春 ~北欧からドイツへ。自然美めぐる音楽の旅~」と題し、神戸市室内管弦楽団第157回定期演奏会(指揮:鈴木秀美氏)が神戸文化ホール大ホールで開催され、グリーグ:ピアノ協奏曲を協演させていただきました。つつじ満開の神戸。まさに春爛漫の本番でした。

グリーグのピアノ協奏曲は情景が眼前に広がり、またすっと遠ざかるような絵画的な作品です。25歳で作曲した後、何度も手を入れたグリーグ。シューマンから影響を受け、ラフマニノフに影響を与えたと言われる佳作です。ロマンティックで魅力的な旋律が神秘的な和声の上に次々に登場。リズム、ハーモニー、メロディーどれをとっても個性的。管とのかけあい、弦との溶け合いが、とっても幸せな時間でした。

ディーリアスの『春、初めてのカッコウの声を聞いて』で始まった演奏会。静謐な森の情景が会場に浮かびあがります。グリーグのピアノ・コンチェルトの後、ピアノ・ソロでアンコール。曲はグリーグがノルウェー民謡をもとに作った『オーラの谷で、オーラの湖で』。グリーグの音楽に傾倒したディーリアスが冒頭の作品の中でこの曲の旋律を引用しているため、前半のプログラム全体が1本の糸で結ばれる形となりました。

1860年製ティンパニーの音は、立ち上がりがはっきりしていて音粒がこちらにはっきりと伝わります。雨の音になったり、激しく波打つ心臓の鼓動になったり、、、。オーケストラの芯を捉える心強い音色でした。

管の長いヒストリカル・トランペットが使われたり、弦の皆さんがバロックボーやガット弦などを取り入れることによって、全体の塊でなく、それぞれの楽器の個性と音色が浮かび上がる響きは驚きでした。


鈴木秀美マエストロの緻密な音作りと豊かなファンタジーで作りあげられていくプログラム。後半はナチュラルホルンが使われ、聞きなれたベートーヴェンの『田園』が、まるで初めて聞くかのような新鮮な曲に思えました。

これまでで最高の入場者数とのこと。ご来場の皆様に感謝。そしてお世話になりました皆様に心から御礼申し上げます。

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