ベーゼンドルファー・ホール

街の雑踏から少し離れたところにあるベーゼンドルファーザール
裏手には、蔦が美しくからまる建物、ホールを出たところに事務所、そして廊下を挟んで練習スタジオ。郊外の静けさに包まれ、秋の日差しが美しいところです。

ホールのステージには、リストがベーゼンドルファーを弾いている絵が正面にかかげられています。ランプが譜面台の左にあり、家庭的な雰囲気を醸し出しています。

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ホール内は、ギリシャ風の柱が数本立ち(運悪くその真後ろの席になってしまった方は、ステージが見えなくなりますが。。。)、劇場のような雰囲気を出しています。
楽器の響きも、ホール自体の音響もまろやかです。

夜は、ウィーンのムジークフェラインザールでウィーンフィルを聴きました。
女性が床を持ち上げるデザインと、金色使いがいつ見てもゴージャスな雰囲気です。

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古く伝統のあるホールですから、いろいろな面で人間的?!
お客様用トイレのすぐ横が楽屋だったりするので、トイレから手を拭いて出てくるお客さんが、出演するヴァイオリニストに出会い頭にぶつかりそうになったり、終演後、大ホールから出ると、小ホールの拍手が聞こえて、ちらっと中に入れたりして。。。。
ちなみに、今日のブラームスホール(小ホール)はテノール、ミヒャエル・シャーデのリーダーアーベント。シューマン、メンデルスゾーン、ブラームス、ヴォルフなど。もしも日にちが違ったら、聴きたいところでした。

今日の指揮は、アーノンクール。モーツァルトプログラムです。
前半はK543、後半はジュピター。
アゴーギックの大胆さ、アクセントによる強調、極端なディナーミックづけ。
今まで意識したことのないモチーフや、音型が聞こえてきて、新鮮。
ただ、あくの強い人間性が全面に押し出されている感じで、ときに「え~!そこまでやらなくても」と引いてしまうような瞬間もありました。
伝統的な上隣接音からの装飾音をはっきりと示し、装飾音も「飾っている」というより、解釈の正当性を鋭く訴えるような雰囲気。
すべての臓器が並べられ、手術の技を自信に満ちたメスさばきで披露する外科医の姿のような感すらありました。
ときに不自然な急ブレーキ、強引な流れなど、楽しめない箇所や、なじめない解釈もあり、モーツァルトの持つ自然な音楽や歌から離れているのでは?と思う瞬間も。
でも、寝ていても弾けるウィーンフィルという名人集団を駆使しての冒険ですから、とにかくおもしろい。
疲れていても、絶対居眠りできない、片時も目が離せないような演奏です。
モーツァルト流の言い方をすれば、「一晩中寝ていなかった人でも、眠るわけにはいきません」。
弦の甘く濡れるような音やほんとうに美しく息をのむようなディミニエンドの官能性、一つ一つのモチーフのキャラクターが明確に示され、徹底的に分析され、曖昧な音、無意味な音がまったく出てこないのです。
細部のデザインまで計算されつくした建築物が目の前に聳えるような、「現代のモーツァルト」でした。

昨日は、適当な軽食ですませてしまったので、今日は、すこし贅沢な夕食。
ホテルインペリアルで、ウィンナーシュニッツェル、ターフェルシュピッツ、スモークサーモン、スモーク鱒にメランジェとトルテ。
ウィンナーシュニッツェルはお肉のうまみと衣のキメの細かさが絶妙。
ターフェルシュピッツは、いつだったか、ハイリゲンシュタットに行く途中で食べたときの方が美味しかったです。牛肉を煮込むのですから、スープが一番旨みが出ているわけで、そのスープを飲ませてくれる店の方が好きです。

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トルテは、ザーッハーのトルテは生クリーム添えですが、インペリアルは、生クリームなし。そのかわりに生地の中にマジパンやナッツが練り込まれていて、風味を出しています。外側のチョコの下にマジパンが一層。

ホテルは、トイレに至るまでゴージャスで、ワインカラーとゴールドの色使いがお洒落。そのままムジークフェラインに入りました。

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