ミラノ・スカラ座『ドン・カルロ』

東京文化会館で、ミラノ・スカラ座公演を聴きました。
本場イタリアの声の美しさ、強さ、圧倒的なドラマ性を堪能する一夜でした。

ルネ・パーペのフィリッポ二世、ラモン・ヴァルガスのドン・カルロ、ミカエラ・カロージのエリザペッタ。
まさにそれぞれの声の競演です。

シュテファン・ブラウンシュヴァイクの演出は、オーソドックスで音楽に忠実。
ダニエレ・ガッティ指揮のミラノ・スカラ座管弦楽団は、ポイントを絶対にはずしません。
歌を盛り立て、しかも自分も盛り上がる、そのラインを知り尽くしている感じでした。

休み時間中も熱心にさらうピッコロさん、フィリッポ二世のアリアで大活躍するチェロなど。さすが世界に誇るミラノの音です。

それにしてもモーツァルトを聞き続けたあとに聞く、とそのヘビーな声量と音量とに、最初、ウっと胸につかえるような感じがするのですが、音楽に引き込まれるにつれ、人間の心の苦悩や愛の昂ぶりが、まったく違うアプローチで披露されていくことに気づきます。

休憩30分、というのは、ヨーロッパ方式。
パリのオペラ座のように「鏡の間」をそぞろ歩いたり、ちょっとした食事をしたり・・・ということもできない上野の聴衆は、おしゃべりとお飲み物で計1時間の休憩を過ごしたのでした。

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