原稿を仕上げ、口癖を知る

来春に出る本の原稿の締め切りが今日です。
なんとか間に合い、メールで送信しました。

読み返してみると、自分の言葉遣いの「癖」というのも気になります。
なるべく同じ言葉を使わないようにしたい・・・と常々思っているのですが、
好きな言葉は、つい使ってしまうようです。
人の口癖は、気づきやすいのですが、自分では、無意識に言ってしまうことが、原稿を読み返してみるとよくわかります。

私の祖母の口癖は
「大丈夫、大丈夫」
でした。何が大丈夫なのかわからなかったのですが、祖母が
「大丈夫よ」
というとなんだか安心していていいのだ、というような響きがありました。満州からの引き揚げるときの苦労、戦後子供4人を育てた苦労、病を得て病魔と闘う苦しみ、、、、そういった決して大丈夫ではなかった人生の中で、自分を励まし、それが口癖になったのかもしれません。

口癖は、言葉に限りません。モーツァルトの節回し、シューベルトの香り、ベートーヴェンの語法、、、、、それらは、紛れもなく、その作曲家の口癖のようなものであり、楽曲の一節を聞いただけで、その人のものとすぐにわかる個性です。
無調の音楽であっても優れた作曲家の作品には、その作曲家の「音」と紛れもない「響き」の個性があるものです。
若い頃、間宮芳生先生の曲を続けて演奏させていただくことがありましたが、先生独自の世界、先生でなければ出てこない音、それらが、楽譜から「響き」として立ち現れることを知り、感動したことを思い出します。

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