本番翌日、少々寝不足ではありますが、久しぶりのウィーンの街に出かけます。
ドブリンガーで楽譜の買出し。知性派お兄さんは、親切そのもの。気持ちよく楽譜探しができました。
続いて、車で10分ほどのところにあるプラター公園へ。「第3の男」で知られる観覧車のある公園です。
「グリースキルヒナー」という、日本にまだ入ってきていないオーストリアビールで楽友たちと乾杯!ほんのりとした甘さもあり、自然の味わい。ビール特有のツンとした苦味がないので、もし日本に入ってきたら、女性にも人気が出ること間違いありません。まるでワインをいただいているようなまろやかなビールです。しかも甘さがきつくなく、のど越しはスッキリ!
ケルントナー通りを少し脇に入って、隠れ家的イタリアンのお店へ。
ウィーン市立音楽院ピアノ科主任教授クロピッチュ先生とのランチです。先生もシャンパンをすでに召し上がっておられ、ホッとしました。
午後、教授のレッスンを少し拝見。
インドの14歳の少年が、リスト・コンクール直前仕上げのレッスンを受けていました。
リストのエチュードやベートーヴェンの悲愴ソナタ。熱心なママの鋭い視線も光っていました。
先生のレッスン室は、天井も高く20畳弱くらい。ファツィオリとベーゼンドルファーが2台並んで置いてあります。室内楽用の譜面台4つ、デスクや応接セットなどもあり、恵まれたレッスン室でした。
ピアノ工房ライジンガーを一昨日に続いて再訪問。
歴史的ベーゼンドルファーやコンツェルトハウスにあったスタインウェイなど、宝箱のような工房です。
「ピアノは私たちのベイビー」
とおっしゃるご夫婦の温かい愛情と確かな技術に支えられたたくさんの幸せなピアノたちを次々に弾かせてくださり、2階の工房の中まで案内していただきました。
ピアノ修復の細かい過程、気の遠くなるような作業、ピアノの音が誕生するまでのドラマをあらためて感じました。
コメント
お忙しいところ貴重なご意見ありがとうございました。
ピアノの製法はNY製もハンブルク製もおそらく同じだと思うのですが、そんなに音色やタッチの感じが違うというのは面白いですね。
やはりアメリカ人の趣味嗜好に合わせたのがNY製ということなのでしょうね。ということは、アメリカ人の趣味というのは日本人やヨーロッパ人から見ると「いまひとつ」と、あまり高く評価されていないということでもありますね。
おそらくモダン・ジャズで弾かれるピアノはNY製なのでしょう。ジャズの専門家にも聞いてみたいような気がします。
同じ「スタインウェイ」でもニューヨーク製とハンブルク製では、かなり音色が違います。日本の大きなホールに入っているスタインウェイのほとんどがハンブルク製のため、日本のみなさんに一般的になじんでいる音は、ハンブルク製のほうかもしれません。
音を言葉にするのは、難しいのですが、ニューヨーク製は、弾いた感じがメロウな印象、音のまわりにゴージャスな響きがまとっているような。
一方ハンブルク製はがっしりと強固な、そして鋭利な感じがします。ヨーロッパとアメリカの嗜好の違いも意識して造られているのかもしれません。
ハンブルク製で弾きなれるとニューヨーク製の音にはちょっと違和感を覚えるということもあってポリーにやアルゲリッチもハンブルク製を(たとえニューヨークでの演奏会であっても)使用するのだと思います。
普段の音作り、音楽づくりをハンブルク製のスタインウェイで練習しながら行っているピアニストは、そのタッチ、音色で自分の音楽を形成していきますから、表現手段の道具として本番で違うものを使いたくない、ということではないでしょうか。
ピアノについてのお話、たいへん興味深く拝読しています。
ヨーロッパでスタインウェイというと、ハンブルク・スタインウェイだと思いますが、アメリカで作られたスタインウェイとはどんな風に音色が違うのでしょうか。
ポリーニやアルゲリッチなどは、ニューヨークでのコンサートでもハンブルク・スタインウェイを弾いているようです。
ハスキルもハンブルク・スタインウェイだという感じがします。演奏家の嗜好、音色の違いなど、専門家のご意見を伺えれば幸いです。