ジブコビッチ教授・打楽器公開レッスン

1962年セルビア生まれ、今まさに油の乗り切った、人気の世界的作曲家であり、打楽器奏者。
間近にレッスンを見ることができ、目から鱗のエキサイティングで刺激的な時間でした。
学部生がジブコビッチ作品を仕上げ、作曲家の前で披露。
ベートーヴェンの前でベートーヴェンを弾く、ということはありえないことですが、現代曲の場合、作曲家に演奏を聴いてもらう、ということが可能なわけで、プレッシャーと喜び半々のはず。緊張で上気しながらも懸命に演奏に臨んでいました。

「クアジ・ウナ・ソナタ」
第2楽章のエロティックな世界は、高い音から始め、第3楽章は逆に地の底からのエネルギーの爆発を低音から開始して表現。
「自分は、作曲家で音符に書かなくてはならないから、音符に書くけれど、表現したいのは音符じゃない。3連符だとか16分音符だとかフォルテだとか、って記号は本当はどうでもいいこと。演奏家にとって大切なことは、アカデミックな音符ではなく、メッセージを伝えること。どんな雰囲気、イメージを伝えるかが大事。完璧に弾くことを目指すのではなく、何を伝えるかが勝負!」

「コンサートとは何か。聴衆との気の交流だ!」

「重さがなければ音にならない」

「歌がなければ音楽にならない」

など当たり前と言えば当たり前なのだけれど、ついつい完璧な演奏を目指そうとしてしまうあまり、原点を見失う危険性を熱っぽく語ります。
それにしても切れ目のないロールやウェーブ。
たくさんのバチが入った袋から最良のものをすっと取り出し、何事もなかったように響きに変えます。あたかもバチは、体の一部のような感じで、目にもとまらない速度で生き物のように動き始めます。まさに、神業!
原初生命体としてのエネルギーが満ちるようなパーカッションの音に、会場の空気は、大きな宇宙に変わりました。

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