木村秋則さんが歩んだ道

NHKのBSプレミアムアーカイブス、「ハイビジョンふるさと発 津軽の土に生きて」を見ました。
テレビはいつもDVDに録画して、時間があるときに見るので、放映されたのは、少し前かもしれません。
番組には、30年近く無農薬のりんご栽培に取り組んでこられた木村秋則さんが登場。
知り合いに、木村さんからりんごを直接買っておられる方もいるので、興味をもって観ました。

木村さんはずっと土づくりにこだわってこられました。
土づくりが大事だと思ったきっかけは、岩木山の麓で出会った栗の木だそうです。山の中で、肥料を使わないのに力強く、農薬も使わないのに害虫がつかない。これと同じ土をつくってやろうと心に決めたのだそうです。

木村さんは土づくりに試行錯誤を繰り返します。そうやって、岩城山麓の栗の木と同じ土だと思えるような土ができ、その土に植えたリンゴの木は、 台風が来てもほかのりんご園とは違い、ほとんど被害はありませんでした。
農薬を使うのが普通になったころ、農薬ではなく、何を使えば、害虫が来ないのか ― 試行錯誤の末にたどり着いたのは、お酢だったそうです。

木村さんの試行錯誤は永遠に続くかのようです。
自然を相手にしたリンゴの生育は、ひととき、うまくいっていたとしても、どんなことがあるかわからない世界。
木村さんが歩まれた道は、さらに未来に続きます。

他の世界であれば、ある高みに到達すれば、それをひたすら維持し、再生産することに全力を傾注することもあるだろうと思います。
ピアノ制作の世界であれば、常に改良を施し続け、よりよい音を求める営みが続けられる一方、ある時代に到達した楽器制作の技をひたすら守り続け、伝統をつくり変えることなく後世に伝承する努力も続けられています。

いろいろなことを考えさせられたひとときでした。

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