6名器の競演~聴き比べの宴~

6名器3組のライバルが集合しました。と言っても楽器たちです。スタインウェイvsベーゼンドルファー。プレイエルvsエラール。シュタインvsヴァルター。
18世紀、19世紀、現代それぞれの響きと香りたち・・・。「6名器の競演」と題し、皆様に聴き比べを楽しんでいただきました。

バッハ、モーツァルト、ショパン、リスト、ドビュッシー、シューマンなど。

シュタインは、1788年のモデル、ヴァルターは1795年のモデルです。
モーツァルトがシュタインのピアノフォルテを絶賛した長い手紙が残っています。シュタインの持つ繊細さと微細な表情をつけることができる敏感なタッチは、モーツァルトを感激させたのだろうと実感します。

けれどもモーツァルトがウィーンに移り住んでから購入したピアノフォルテは、結局ヴァルター。ヴァルターを使ってコンチェルトも弾きました。20番K466の演奏の折には、ピアノフォルテの下に足鍵盤を入れてベースの響きを補強して演奏した、という記録が残っています。このヴァルターは、少しあとのモデルですが、シュタインに比べると音も大きく太く柔らかい感じがします。

白鍵(現代の鍵盤の黒鍵にあたるシャープキー)の幅が異なり、続けて弾くときは要注意です。

プレイエルのしっとりした味わいとエラールの華やかな輝やき。
スタインウェイの硬質な美しさとベーゼンドルファーの温かい響き。

秋の日の午後、時代と響きの旅を楽しみながら弾かせていただきました。

コメント