9月13日、ロヴェレートから車で30分のトレント地方のアラの街に出かけ、歴史的ピアノの博物館にお邪魔しました。アラは、モーツァルトが滞在したピッツィーニ邸があり、一昨年の演奏会のときには、お屋敷内をフェラインの皆様と一緒にゆっくり散策しましたが、今年は そのとき休館中で入ることができなかった博物館へ!
「ナポレオンの寝室」も残されていて、とても個人の収集とは思えない数々の名器が、次々に登場します。1781年製アダム・バイエルのスクウェア・ピアノ、1803年製ドイツ製のクラヴィコード、1815年製フリッツ、1825年製グラーフに始まり、各時代の所蔵楽器をすべて試弾させてくださいました。
最も興味深かったのは、プレイエルの部屋。ショパン時代のプレイエルが数種類置かれており、比較することができたことです。1833年、1835年、1836年、1840年代とそれぞれ微妙に異なるプレイエルたち。1835年製ピアニーノは、鹿革が7重に巻かれたハンマーで、ショパンがレッスンのときに使っっていたそうです。1840年代の楽器はマジョルカ島で使ったのと同型のプレイエル。共通しているのは、気品のある音色とタッチの柔らかさ。そのなんと弾きやすいこと!感激のひとときでした。
ウィーン式ピアノの黄金時代の楽器、1810年製ヤコブ・ベルチ。音を楽しむための6本(シフト、ファゴット、チェレスタ、ダンパー、カンタービレ、トルコ)のペダルがついています。装飾には、皇族に伝わるシンボルの意味がこめられているとか。
「電気は大嫌い!ビデオはもっと大嫌い!音は、機械でなく心に残してほしいの。」ということで録音はNOでしたが、「ふだんは、人を入れない」という2階のプライベートスペースまでご案内くださいました。
ほのかな明かりの中、チェンバロ、フォルテピアノ、クラヴィコードらと共に、静かに生きておられるテメヌシュカ・ヴェッセリノーヴァ(Temenuschka Vesselinova)さんです。
コメント