ヨーゼフ・シュトラウスの「君が代」

シリコンヴァレーの工学博士、Dr. Takaaki Otagawa 先生は、東京オリンピックが行われた1964年(11歳)よりシュトラウスをご自分の趣味として弾き始め、1975年の日本ヨハン・シュトラウス協会発足以来、”シュトラウス・ピアニスト”として活躍されました。現在は、ヨハン、ヨーゼフ、エデゥアルド・シュトラウスの正規の音源のない、ウィーンでも忘れられている珍しい曲や「原典版・第1稿(初稿)」をピアノ編曲され、その録音に取り組まれておられます。小田川先生の最新録音を聴かせていただきました。

小田川先生

その中のヨーゼフ・シュトラウス作曲の「日本行進曲」を聴き、驚愕しました。なんと第2テーマに君が代の節が使われているではありませんか!この「日本行進曲」は、1862年に文久遣欧使節団歓迎のために作曲されましたが、「君が代」が、雅楽師、奥好義によって作曲されたのは1880年。つまり「君が代」成立の20年近く前にすでに「君が代」の節がシュトラウスの曲に登場?!しているということになります。

「君が代」にまつわる本は多数出版されておりますが、このシュトラウスが「Thema National」と記した第2テーマについて述べている本は、今のところ見つかっていません。シュトラウスは、いったいこのテーマをどこからとったのでしょう?小田川先生から投げかけられた「君が代」のミステリー!気になり出すと寝る前も朝起きてもふっとこの旋律が気になってしまう性格の私です。どなたか、この「出典」をご存じの方がいらっしゃいましたら、教えてくださいませ。

氏の録音には、ほかにヨーゼフ・シュトラウスの「愛の悲しみ」、エデュアルドの「人生の喜び」などが入っており、ピアニッシモからフォルティッシモへの情感の揺れやハーモニーのうつろいが独特の”ウィーン節”となっています。

私は、この7月、シュトラウスも演奏したクアハウスでウィーン・サロン・オーケストラとモーツァルトのピアノ協奏曲第12番の再演を予定しています。お正月のニューイヤーコンサートでの共演以来、半年ぶりの再会です。何とも不思議な縁で結ばれた「君が代」とシュトラウス。シュトラウスの本場、ウィーンでのコンサートの翌日に、「君が代」のルーツについて、お尋ねしてきたいと思っているところです。

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