ベートーヴェン生誕250年に寄せて

旧東京音楽学校奏楽堂におきまして、
ベートーヴェン生誕250年記念講演・演奏会
(株式会社 朝日旅行主催)に出演させて頂きました。

「ベートーヴェンのいたウィーン」と題して小宮正安先生のご講演。続いて先生と私のクロストーク、そして最後にベートーヴェン《ワルトシュタイン》を演奏させて頂きました。

小宮先生の軽妙なトークと快調なテンポに会場はすっかりウィーンのムードに。盛り沢山の内容を、ピッタリと枠内におさめ纏めてくださるプロフェッショナルな時間運びとお優しいお人柄に感謝しております。

旧奏楽堂は、芸大の学生時代に何度か演奏したことがあります。リハーサルの前にノスタルジックな感慨にふけりながらステージを歩き、当時を思い出しました。

舞台横のカーテンに音が吸われたり、パイプオルガンから風がスースー入ってきたり、、、と昔の建物ゆえの不便さも否めませんが、独特の雰囲気があり人気のホールです。多くの先輩音楽家達が巣立った歴史の重みを感じました。

客席には足元ヒーターが入っていて、さながら電車の座席のよう。

演奏中、外の救急車のサイレンが聞こえたり、車がバックするときの警告音が鳴ったり、、、。音が音名で聞こえる我々音楽家にとってはギョッとすることも。

ザルツブルクのミラベル宮殿でドビュッシーを弾いた直後に鳥が入ってきて鳴きだしたり、フランクを弾き終えた瞬間、教会の鐘の音が聞こえたり、、、という経験がありますが、それとはちょっと風情が違うかもしれません。

おそらくベートーヴェンも馬車の音や鳥の鳴き声の中で演奏したことでしょう。最も中期以降、彼の耳にはウィーンの街に流れる現実の音は届かなかったのですが、、、。

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