蓄音器コンサート

9月から大学の授業が始まり、先週から実技レッスンも開始。後期が本格的に始動しました。
今日は夕方のレッスンを終え、池袋へ。
夜は、”歴史的建物「明日館」で聴く蓄音機コンサート”
ピアノ黄金期の巨匠たちの音色に、ゆったり耳を傾けることができました。
音盤解説は松原聡さんと梅岡俊彦さん。音楽が好きで好きでしょうがない・・・というお二人のトーク付です。
使用蓄音機は1930年イギリス製EMG mark IX。
1921年建築の重要文化財である「明日館」は、蓄音機の音を聴くのに適していて、耳に心地よいひとときでした。
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1900年代前半は、ベーゼンドルファー、エラール、プレイエル、ガヴォー、クナーベ、スタインウェイ、ボールドウィン、グロトリアン、ブリュットナー、ベヒシュタインなど各メーカーの音色と個性がはっきり異なる時代。ピアニストたちは、多くの種類のピアノを弾き、楽器と演奏家の個性が輝いていた時代でもあります。今夜は贅沢な聴き比べとなりました。
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ローゼンタールとベーゼンドルファー、ラフマニノフにはスタインウェイ、ギーゼキングとグロトリアン、パハマンとボールドウィン・・・・ピアノとピアニストのマリアージュからきらきらと音の粒が立ち上がり、客席からはうっとりとため息が漏れてきます。SPは雑音も味のうち。私の好きなパハマンは弾きながらお喋りまでしてしまいます。(今だったら録りなおし間違いなし!なんとも大らかな時代です)
ウィーンの軽やかで柔らかな響き、アメリカの華やかで甘い響き、ドイツの深みのあるいぶし銀のような光、フランスの香り、それぞれのお国柄もピアノの響きに現れます。
CDや現代ピアノとはまた異なる古き佳き時代の音色を聴きながら、高校生の頃にタイムスリップ。今は亡き師匠、ピアニストの松浦豊明先生のお宅で聴かせていただいたSPの音色を思い出しました。自分の歴史的楽器への想いは、もしかしたらこの頃から始まっていたのかもしれない・・・と思いながら、帰途につきました。
(写真は調律師の風間信雄さん撮影です。)

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