諏訪にて

モーツァルトの「戴冠式」のオーケストラ合わせのため、諏訪に入りました。
諏訪湖は、カヌーを漕ぐ人、散歩する人、ジョギングする人など、まるで風景画の中に入り込んだような美しさです。
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今回の演奏会のマエストロ、濱さんの別荘(通称:濱離宮?!)が湖のほとりにあり、そこで合わせの開始時刻まで練習させて頂きました。諏訪湖を眺めながら一人ベーゼンドルファーを弾く ”幸せな時間” 。湖を横目に見ながら練習ができる絶妙なピアノの位置は、ピアニストの横山幸雄さんが決めたとか。流石!
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お昼を食べに出た帰りは、和菓子屋さん巡り。まずは、塩羊羹で有名な新鶴さんへ。
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御柱の御神木が飾られた店内は、土曜日とあって大変な賑わいでした。
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次に、地元で知る人ぞ知る福田屋さんへ。一日限りの桜餅をゲット。オレンジ大福も珍しさにつられ、つい手が伸びてしまい・・・諏訪の一日で益々顔が丸くなってしまいそうです。
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夕方から、合わせ練習。「戴冠式」は、モーツァルトの楽譜が完成されていない箇所が多くあり、第2楽章の冒頭などは、左手が全く書き込まれていません。モーツァルトの頭の中には、完璧に音楽が鳴り響いており、楽譜に書く必要などなかったのかもしれませんが、後世の私達は、ベストの音を求めて迷ったり、試したり・・・の連続です。
オーケストラの管楽器の方からも楽譜について疑問の声があがります。「3楽章の最後から7小節目、pになる音が管楽器だけずれているのは楽譜の間違いでしょうか?」
今回、よーく自筆譜を見てみました。モーツァルトは明らかに、楽器ごとにずらしてp の記号を書き込んでいるのです。ピアノに関しては音を書き込まず空白のまま残したりしているのに、オーケストラパートに関しては、考え抜いたデュナーミク(強弱)指示を書いたりする、、、そのアンバランスが、面白い!
おそらく当時の管楽器の音色を想定してのことと思われます。けれどたとえ現代の楽器であっても、そのほうが、全体としてクリアに聴こえ、独奏ピアノが入る瞬間のインパクトが強くなるのです。
以前、フォルテピアノ奏者であり指揮者のインマゼール氏に言われた言葉を思い出しました。「オーケストラは、たいてい全員で、同じことをしようとする傾向にあるけれど、楽器ごと、時には、同じ楽器でさえも、違うことをしたほうがよくなることはいっぱいある。揃って同じことをするのではなく、異なるものが混じることで、ちょうどよくなることがあるんだ。」
彼の「ボーイング(弓使い)をあえて、全員揃えないこともある」という意見には仰天しましたが・・・。
そんなこんなの疑問や提案を自由に言い合いながら、練習が進みました。自然豊かな諏訪での演奏会は今週末です。なんとチャイコフスキーのコンチェルトのソリストを務めるヴァイオリニストの会田莉凡さんは、私のモーツァルトのときにはコンサートミストレスをしてくださるとか。。。初顔合わせ、楽しみです。
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コメント

  1. yuko より:

    Kiri様
    コメントありがとうございます。今日は先程神戸で演奏会があり、ただいま、しなのビューで移動中です。明日コロネーションの火照りのあと、即立川に移動し、明後日は錦まつりコンサートに出演いたします。
    モーツァルトでしたら絶対不可能な移動距離!文明に感謝?!です。

  2. Kiri より:

     ポスターを拝見いたしますとシリーズで催されているイベントのようですね。松本市のサイトウ・キネン定期演奏会といい、長野の人々は恵まれています。
     この時期に信州でのコンサートとは素敵ですね。吉丸一昌さんの「春は名のみの風の寒さや」は、諏訪から近い安曇野・大町あたりの早春を詠んだものと聞いています。コロネーション演奏後のおからだのほてりは、どうか元祖「名のみの風」で冷ましてくださいませ。
     末筆ながら、演奏会のご成功を祈念いたしております。