ディープな「蔵の街」

栃木市西方町にある西方音楽館。音響設計を手掛けられた 故 永田穂先生のご紹介で最初に伺って以来、毎年出演させていただいています。今回は、ヴァイオリンの永峰高志先生をゲストにレクチャーコンサート。

朝は道路が混むため、前日入りすることが多いのですが、リハーサルの後の散策では「蔵の街」栃木のディープな街並みに魅せられています。一瞬、映画のセット?!と思うようなお店が並び、まるでタイムスリップしたような不思議な感覚。。。

夜は、大正12年創業の「赤城亭」で頂く元祖「洋食!」。先代、先々代から伝わる器に盛られたシェフの工夫のお料理と女将さんの温かいおもてなし。

西方音楽館館長の中新井紀子館長は、藝大の楽理科出身。科は違いますが、私の先輩にあたります。「永遠の20歳」というニックネームどおり、コロコロと少女のような声で笑い、演奏会の企画の傍ら、古楽器の練習、わらべ歌の普及にも取り組んでおられます。中新井さんのご主人が「ここは、江戸時代、旅館をしていたんですよ。」と生前お話しくださったことがあります。そのせいか、楽屋に使わせていただくお部屋には骨董品屋さんで見かけるような年代物の置物や古いこけしがたくさん置いてあって、出番前、癒されています。

そして西方音楽館木漏れ陽ホールは客席と奏者の距離が近く、音楽に直に触れる感覚は、きっとモーツァルト時代、シューベルト時代のサロンの距離感に近いものがあるように思えるのです。「静けさ、良い音、良い響き」というモットーを掲げておられた永田先生ですが、PPの静けさが届く距離感は、奏者の微細な表現を可能にしてくれます。

中新井館長さんが「衝撃的なコンサートだった」とFBで書いてくださっていましたが、オンライン配信ではなかなか伝わりにくい「波動」と「息遣い」は、やはりライヴに限る!と思えた時間でした。

終演後、ストラディヴァリウス「ヨアヒム」を手に永峰高志先生と。お隣が中新井館長さんです。

顔なじみのお客様との再会に感謝しながら、西方をあとにしました。

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