ショパンとプレイエル・ピアノ@ららぽーとホール

横浜での演奏会を終えた翌日は、朝9時から夜の7時半まで国立音楽大学での授業とレッスン。今朝は、10時半からショパンの講座でした。

立川立飛の中にありますららぽーとホール。こけら落としでモーツァルト講座をさせていただきましたのが、昨年の秋。半年でピアノの音色もタッチもかなり柔らかくなっていました。

ご受講予定人数20人のはずが70人以上。熱心なピアノの先生方、学生さんとともにショパンにアプローチした2時間。お忙しい朝に、お集まりくださいました皆様に御礼申し上げます。

ダン・タイ・ソン氏やユリアンナ・アヴデーエワさんが、ショパン時代のエラール・ピアノでピアノ協奏曲をレコーディングしたり、ショパン・コンクール歴史的楽器部門が開催されるようになり、楽器への理解が求められる時代になりました。

ショパンが愛した楽器プレイエルは、エラールよりさらに繊細で柔らかな楽器です。ヴィルトゥオジティが求められるコンチェルトやコンクールのような場には不向きのピアノと言えるかもしれません。サロンでの演奏を好んだショパンが、息遣いの伝わる距離感で披露したプレイエルの音色。ピアノの詩人ショパンによって、サロンで生まれ、演奏された音楽を今日の講座では取り上げました。

ショパンの持つ歌心、複雑なハーモニー、ZAL(喪失感)と滅びの美学・・・。それらに寄り添ったプレイエル・ピアノ。そこから生まれた音楽を現代楽器で演奏する際、作品の美学に直結しているプレイエルの持つ柔らかな音色をどう再現するか、プレイエルを前提に記載されたペダル記号をどのように読み解くか、が問われます。

「ピアノ・テクニック」というと、速く、強く、というメカニックの面で捉えられがちですが、ショパンのテクニックは、いかに歌うか、いかに語るか、の技術と言えましょう。

宮地

今年8月1日、2日の国立音楽大学夏季講習会(社会人対象)では、ショパンを取り上げます。プレイエル・ピアノの音色を間近で聴いていただいたり、リニューアルした楽器学資料館で様々なピアノをご覧いただく予定です。昨年に続き、また皆様にお会いできますのを楽しみにしています。

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