モーツァルト漬けの1日@ロヴェレート

ロヴェレート音楽祭でのリサイタルは、明日で通算5回目となります。これまでは、本番前は、練習に明け暮れていましたが、今年は、あらゆる催しに参加し、「インプット」の毎日です。
昨夜、スリル満点?!のドライブのあと、夜中3時にベッドに入ったのですが、朝6時起床。モーツァルト学会が行われるコングレスホールへ。重厚で美しい建物です。
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音楽美学のCLAUDIO BOLZAN氏の「ピアノ協奏曲KV271、挑発、ユーモアと演劇性」は、ちょうど6月に神奈川フィルさんと共演したばかりの曲で、大変興味深く拝聴。そういえば、そのとき指揮をしてくださった伊藤翔さんは、ニーノ・ロータコンクールの優勝者。昨日、演奏会場で第2位になった若き指揮者にお会いしました。世の中、狭すぎ・・・です。
若き音楽学者MARCO BIZZARINI氏のモーツァルトの「ファンタジー」についての発表も、今回の私のプログラムの曲と共通しており、実演を伴っていたため、大いに共感できました。
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ピアニスト、ALEXANDER LONQUICH氏は、「モーツァルトは自作をどのように弾いたのか」について演奏を交えて、プレゼンテーション。これは、かつての私の小著「モーツァルトはどう弾いたか」と同じ視点で嬉しくなりました。1904年のライネッケによるKV488の演奏における自由な装飾について述べられ、即興性への回帰を主張しておられました。
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他の音楽学者の皆さんは、スーツ姿できちんとした「学会」の雰囲気なのですが、LONQUICH氏は、よれよれのTシャツにジーンズ。インターネットで見ることができる「歴史的演奏」を自分のスマホにマイクをつけてプレゼンテーションをしたり・・・。「現代のピアニスト」として個性的なオーラを出していました。
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学会後の昼食会。
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レストランは、最初の晩に連れてきていただいたのと同じ、ペッティロッソ。以前は宿屋だった建物で、モーツァルトが宿泊したことがあるそうです。
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そこから伸びる「パガニーニ通り」。まさに音楽の街!
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昼食後は、ANNA NEZHNAYAさんの展覧会鑑賞。「モーツァルトとロドロン・ファミリー」を題材に、多くの作品が展示されていました。会場のVILA LAGARINA PALAZZO LIBERAは、3年前に私が演奏会をさせていただいた場所。会場のスタッフの方たちが、覚えていてくださって「CIAO!!」と陽気に話しかけてくれました。
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作曲家でありフィレンツェのモーツァルト協会会長でもあるCESARE VALENTINI氏とピアノを弾きながらKV332のアナリーゼについてお話ししたり、ショパンを聴いていただいたりして、楽しく過ごしているうちに、時計を見ると17時5分!
17時開演のロドロン家で行われる室内楽コンサートに間に合わない・・・と焦りましたが、イタリア時間で始まるコンサート。問題なく席につくことができました。どうやら私もイタリア式の行動になってしまっているようです。M.NOSTITZカルテットによるモーツァルトのカルテットKV458などが演奏されました。マイクを入れているかと思うほどの豊かな残響に驚きました。
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ロドロン家の伯爵夫人は、上品でチャーミング。モーツァルトが曲を捧げた貴族の末裔とお話しできるなんて、
光栄な時間でした。「伝統を守るということは大変なの。時々、肩の荷が重い。。。て思うこともあるのよ。でも幸せなことだから、幸せに前を向いて生きていくしかないわ。あなたは必ず音楽の道を究めてね。」とにこやかな笑顔で励ましてくださいました。
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夜は、ロヴェレートホテルで行われたターフェルムジーク。管楽アンサンブルによるディベルティメントやオペラのアリア、そしてマルツェミーノワイン。スピーチやお土産コーナーなど、陽気な歓声が飛び交うパーティとなりました。
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このあと、「ムゼッタのワルツ」を披露されたソプラノのMARGRIET BUCHBERGERさん。前奏中にピアノの蓋を閉め、歌いながらピアノにひょいと乗り、脚線美も披露。日本ではあり得ない際どい演出?!に度肝を抜かれた次第です。
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