フォルテピアノリサイタル@アラ(ロヴェレート国際モーツァルト音楽祭)

朝10時半、ロヴェレート近現代美術館(MART=Museo D’Arte Modern)へ。
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マウリツィオ・ポリーニは、ロヴェーレート出身のピアニストですが、彼のお父さんは有名な建築家で、お父様が亡くなられたあと、毎週お墓詣りにロヴェレートにいらしていたこともあるそうです。そしてポリーニのおじさんにあたるファウスト・メロッティもロヴェレートを代表する造形芸術家。メロッティの個性的な作品が多く展示されていました。
シュールレアリスムの画家、ジョルジョ・デ・キリコの絵画や ロヴェレート出身のフォルトゥナート・デ・ペーロの作品など明るい自然光の中でゆったりと鑑賞することができました。
ランチは、再びペッティロッソへ。
野菜サラダ
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鱒のムニエル
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で腹ごしらえのあと、アラに向けて出発。
途中事故渋滞発生。大破した車とバイクを目の当たりにし、背筋が寒くなりました。
会場に着いたのが1時間遅れでしたが、素敵な雰囲気に気を取り直してリハーサル開始。
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モーツァルトが演奏会をしたピッツィーニ邸でのリサイタル。モーツァルトと時を超えて出会えるようで、心ときめきます。
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窓から見える風景・・・モーツァルトもこの自然を見ていたのでしょうか。たくさんの鳥の声が聴こえてきます。
モーツァルト時代の鳥たちの末裔でしょう(笑)。
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一昨日の演奏会場から運ばれてきたヴァルター・モデル(Paul Mc Nulty 2009年制作)のフォルテピアノ。
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楽器を運び調律をしてくださったのはFrancesco Zanottoさん。
天井画が描かれた美しい空間。修復作業が終わりリニューアルしたばかりです。
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フォルテピアノの残響をほどよく残してくれる音響。石と木で造られた部屋自体が楽器という感じがしました。
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今日は、調律のザノットさんの都合がつかず「立ち合い&直前調律」がありません。調律用具を置いていってくださり、演奏会直前の手直しは私が行うことになりました。これまで自分のクラヴィコードやフォルテピアノの調律はしたことがありますが、他人の楽器、しかもPaul Mc Nultyの名器を調律するなんて・・・。少し戸惑いましたが、リハーサル後、唸りかけていた音程の箇所などの調律を行いました。
この「調律」の行為によって、楽器と自分の距離が縮まったように思えます。 楽器の強音、弱音のレンジの広さやハンマーが弦に当たる瞬間のタイミング、ハンマーヘッドに巻かれた皮の状態などが直に伝わり、「自分の楽器」という愛着感が湧いてきす。演奏が終わればもちろんザノットさんにお返しする楽器なのですが、演奏している瞬間は一体とならなければ自分の息遣いは出せません。
日本ですと、コンサート前ギリギリまで調律師さんが面倒を見てくださって、私は弾くだけ・・・ということがほとんどです。今回、図らずもいい経験ができたと思っています。
オルガンも演奏できたモーツァルト。この部屋を飛び回りながら、自由闊達な演奏をしたことでしょう。
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モーツァルトが寝泊まりしたお部屋が、今回の楽屋です。この部屋でモーツァルトは眠り、この部屋が一番のお気に入りだったそうです。
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