諏訪交響楽団第150回定期演奏会

起床。素晴らしいお天気。窓を開けると150回定演にふさわしい美しい風景です。
ところが、朝8時半、理事長さんから電話が入ります。
トラブル発生!
調律をお願いしていたKさんが、八王子付近で高速で事故に巻き込まれたとのこと。
事故処理が終わってからこちらに向かわれるので、11時にアップは無理とのこと。
幸いお怪我はないとのことで、ほっとしました。
少し遅れで練習に入り、リハーサルも無事2時から開始できました。
調律師さんのつくる豊かな音は、マジックと呼んでいいくらいで、ピアノの格が上がります。
冒頭和音のppからffへの変化も、叙情的なテーマの歌う音色も、楽器が助けてくれるような心強さを感じてリハーサルに臨むことができました。ほんとうに感謝です。

今回は、テンポの面でも表現の面でも、自分の殻を破ることに挑戦しました。
すっきりとした形式美のモーツァルトでは、美しい透明な音色が求められます。
しかしラフマニノフでは、美しいだけではない、ときには破裂する爆音や哀しみが髑髏を巻く情念など、振幅の激しいロマン派の世界を表現しなければなりません。
現代のピアノという楽器を200パーセント使いこなし、ときには、打楽器にも管楽器にも弦楽器にもなるようなスケールの大きさも求められます。
崖っぷちを全力で駆け抜けるようなギリギリの表現やテンポにも挑みました。安全弁をとりはずして臨むという感じです。
そんな冒険を支えてくださったのは、諏訪響のみなさんの温かい心です。
コバケン先生の情熱あふれるタクトで超満員の客席も興奮の坩堝と化しました。
ラフマニノフ2番、チャイコフスキー5番、そしてアンコールのハンガリアン舞曲まで、大きなうねりと流れとリズムで空間を轟かした150回という記念の定期演奏会。
お聴きくださいましたお客さま、そしてお世話になりました皆様に御礼申し上げます。

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