リストとベーゼンドルファー・ピアノ

「命に危険が及ぶ暑さ」という言葉が、朝の天気予報で連日聞こえてくる猛暑の毎日。
数年前は、「クーラーの使い過ぎに注意しましょう。」と節電を呼び掛けていた年もあったように記憶していますが、今は電力が安定しているのか「エアコンを必ずつけるようにしましょう」と熱中症への注意喚起が行われています。

今日は、一昨年に学研プラスから出版されました「リストとベーゼンドルファー・ピアノ」をもとに、宮地楽器ららぽーと店ホールにて演奏を交えたレクチャーをさせて頂きました。

猛暑日に情熱的なリスト、、、。いかがなものかと思いましたが、多くの熱心な受講生の皆様とリストワールドどっぷりの2時間を過ごさせて頂きました。

本書は、作曲家とその愛用した楽器の関わりを軸に展開したシリーズ、「モーツァルトとヴァルター・ピアノ」、「ショパンとプレイエル・ピアノ」に続く第3弾です。ベーゼンドルファーの個性、リストのオーケストラをも超える表現力、それらをどう融合させ、魔術師の音楽にアプローチしていくか、、、展開させていただきました。

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ホ長調で書かれた宗教的な作品、「マリアの婚礼」や「波を渡るパオラの聖フランシスコ」。
変イ長調で書かれた愛をテーマにした作品「愛の夢」、「献呈」など
リストの調性感、和声進行、語法、楽譜の書き方、テクニック、マスターコースでリスト自身が語った言葉などにも触れ、作品を分析していきました。

今回は、ベーゼンドルファーを運び入れてくださっての講座。ベーゼンドルファーの音色を語るのに、大変ありがたかったです。

人にとってハードな猛暑日は、ピアノにとってもコンディションを保つのが難しい季節。調律師のTさんもご苦労されておられました。

3回シリーズ全出席の方もおられ、また今週から来週にかけて大学で行われる「ピアノフェスティバル」や「社会人対象夏の講習会」にもご参加くださる顔馴染みの方もおられ、音楽の輪が嬉しい限りです。

リスト音楽院のジョルジュ・ナードル先生、ロシアで学ばれたハンガリー出身のジョルジュ・アゴナーシュ先生らから受けた教えが、長年愛用しているリストの楽譜の書き込みの中から蘇ってきます。

難しい!と感じたパッサージュが、数年後、気持ちよく弾けるようになる瞬間は、リストを弾く悦びでもあります。ピアニストが作曲した曲は、本来ピアノという楽器から最大の効果を上げるように書かれおり、指示に沿って、導かれるように弾くと曲のほうからこちらに来てくれるようなところがあります。それもまたリスト人気の要因の一つになっているのかもしれません。

音域によって異なる音色の魅力を持ったベーゼンドルファー。そしてオーケストラのように多彩な音色を駆使したリスト。楽器と作品の幸せなマリアージュを目指したいと思います。

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