ピアノ選定

まもなく完成予定の東大阪市文化創造館に入るピアノの選定を、静岡県掛川市にあるヤマハ工場にて、行わせて頂きました。
ヤマハ工場訪問は久しぶりでリニューアルになってからは初めてのこと。広くゆったりとした敷地に、整然とシステマティックに並ぶ製造過程。技術者の皆さんの厳しい眼差しと無駄のない動き、細かな作業が公開されています。パネル表示やビデオルーム、歴史の案内など、至れり尽くせりの公開プログラムが出来上がっており、地元の中学生、企業の方など多くの見学者で賑わっていました。

午後2時。建設、運営、文化担当の関係者の皆様、そして市民の皆様立会いのもと、新しいホールにお嫁入りするピアノを選ぶというエキサイティングな瞬間が始まりました。

フルコンサートグランドは、楽器個体として、豊かな響きを持っていることが第一条件ですが、それぞれの個体としての性格が一台一台異なるのがピアノの不思議なところ。原材料の大部分である木材が、もともと自然から生まれたのですから、当然と言えば当然なのですが、「選定」の仕事、あるいは複数楽器の弾き比べコンサートなどの機会ごとに、「ピアノは生きている」ことを実感します。

先月選定したスタインウェイは、収容人数、300人の小ホール、1500人の大ホール、それぞれのキャパシティと用途に合わせて、ふさわしい個性の楽器を選択させていただきましたが、今回は、どちらにも使えるオールマイティーな楽器が求められていました。

コンチェルトのときにはオーケストラに埋もれないパワーを、子供達の発表会では小さな手にも抵抗感の少ない優しさを。
最後に、お嫁入が決まったピアノで、「お披露目ミニコンサート」。バロック、古典、ロマン派と様々な音域と音量を披露しながら、ご縁の最初の瞬間を皆さんと分かち合いました。

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