オンライン・・・是か非か

国立音楽大学でのオンライン授業が始まって、まもなくひと月になります。当初は、まる一日オンラインレッスンが続くと、目と頭が痛くて翌日起き上がれない。。。と体調不良を訴える同僚や、音割れとタイムラグのカオスで倒れそうだったと嘆く学生、疲れが普段の10倍!とぼやく先生など、コンピュータに振り回されている感がありました。音楽はやはり対面で密な空間で音波を共有して音色を追及していく世界ですから、そこにコンピュータが介在するという違和感は拭えないものがあるのは確かです。

けれどもっと大変な状況の中で、最前線で闘っておられる医療関係者の方々のことを思ったら、そんな贅沢は言ってはいけない、感染防止のため、皆の命を守るため、三密を避けるため、我慢我慢、、、と言い聞かせながらコンピュータに向かう3週間でした。
ところが、最近、オンラインならではの想定外の良い面というのも感じています。たとえばクラス授業で、皆の前でレクチャーコンサートスタイルで演奏とお話をして「それじゃあ、また来週ね。」と教室をあとにしてしまった場合にはわからなかった受講生一人一人の顔と個性というのが、コンピュータの画面を通して、如実に伝わってくるのです。

驚くほど鋭い感性を示す人、きれいに無難にまとめる人、鵜呑みにしてしまう人、ほとんど興味がない人、じっくり考えて答えを懸命に探す人、、、、。毎回個人個人から課題を受け取り、フィードバックする過程で、文章の癖、考え方、性格などが一緒に、提出されてくるのです。きっと私の性格も逆フィードバックされていることと思いますが。。。(笑)。

そんな中、嬉しいのは、コンピュータというマシンを通しているにもかかわらず、行間や小さなメールの中に「感謝の心」や「礼節」を表現できる人が少数ながらいることです。

人としての基本、「ありがとう」の挨拶や相手への思いやり。
オンラインになっても、いえオンラインだからこそ、無機的な関係ではなく、人としての温もりや繋がりを大切にしていきたいと思う今日この頃です。

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