風よ、吹け

私の子供時代の音楽体験の始まりは、カリタス小学校での合唱団の伴奏でした。大好きな音楽の先生の指揮で、毎週伴奏できるのをとても楽しみにしていた記憶があります。「上手になったなぁ」と褒められるのが嬉しくて、一生懸命練習したものです。

藝大時代には、合唱の必修授業がありました。ある時、先生がお休みで、同級生の大野和士さんが代役を務められたことがあります。普段ダラダラした態度の同級生たちが突然真剣になり、短時間で長足の進歩を遂げたのです。合唱は指揮や指導によって全然変わる!ということを実感した瞬間でした。今や世界的指揮者となられた大野さんですが、学生時代、歌の伴奏を積極的にしておられたのが印象に残っています。

最近、時々ラトヴィアの合唱祭のLPを聴いています。かつて北海道東川町ラトビア交流協会の西原義弘さんに頂いたものです。

それ以来、5年に一度開催され3万人以上が参加する「歌と踊りの祭典」に是非行ってみたい、と思っていました。一昨年2018年、「ラトヴィア建国100年記念・歌と踊りの祭典」にお招きいただきながら、自分の演奏会の本番に重なり伺えなかったのが残念でなりませんでした。

人口の数だけ民謡の数があると言われる合唱大国ラトヴィアには、素晴らしい合唱曲がたくさんあります。ラトヴィア女性合唱団ジンタルス来日の折には、プログラムに寄せるエッセーを頼まれ、リガでの演奏会の想い出など書かせていただきましたが、アカペラでファンタジックな歌を次々と披露するメンバーの水準の高さに仰天したことを今でも思い出します。

一昨年ラトヴィア行きのチャンスを逃してしまって以来、ラトヴィア訪問は、しばらくの間、叶いそうにありません。歌を聴きながらラトヴィアの豊かな自然、人々の笑顔や歌声を思い出している今日この頃です。

ちなみに、我が家のキッチンで愛用しているのが、ラトヴィアの布巾。ラトヴィア産リネンで出来ており、丈夫でよく水を吸い、洗って乾かしてピンと新品同様になるところも気に入っています。

ラトヴィア民謡「風よ、吹け」の歌声を聴きながら、毎食後、洗ったお皿をせっせと拭いている私です。

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