レクチャーコンサート@東大阪市文化創造館

昨春、東大阪市文化創造館のホールに入る3台のコンサートグランドピアノを選定させていただき、秋にピアノお披露目コンサートに出演。それ以来1年ぶりにお伺いさせていただきました。

渡辺昌明館長さんの音楽講座の最終回としてのレクチャーコンサート。バッハからシェーンベルクまで、ピアノ音楽の潮流を2時間で駆け抜けた演奏会でした。懐かしいスタッフの皆さんとの再会、そして素晴らしいホールの音響にあらためて感激の一夜でした。

お客様は、市松模様に互い違いに座られ、席数も限定しての開催。入口には、体温センサー。看護師さんも待機の上での開催です。奏者の私も、楽屋入り直前に体温チェック。感染対策を徹底した上で安心して楽しんでいただける演奏会、そして感染予防と芸術活動の両立のために尽力される関係者の皆さんに感謝です。

お客様は全員マスク着用で顔の半分は見えないのですが、マスクの向こうの表情が直に伝わってくるのが不思議でした。マスクでお顔が見えない分、拍手で気持ちを伝えてくださる優しさにじーんときてしまいました。終演後の面会は一切できませんでしたが、この場をお借りして来場のお客様に御礼申し上げます。

生の音楽でしか味わえない波動の共有、響きの余韻に浸る喜び・・・。ステージと客席の一体感は一入でした。

ところで、調律師さんは、日頃、その日のプログラムに合わせて調律をしてくださいます。モーツァルトの軽やかな音を!ブラームスの深さが欲しい!リストの華やかさを出して!と奏者のリクエストに応え音を作っていくプロフェッショナルです。

ところが、今夜のように、バロックから現代曲まで1台のピアノで演奏するときは、調律の段階では、どこからでも攻めることができるオールマイティな状態を設定し、かつ奏者は変幻自在にタッチを変えていくというチームワークが必要になってきます。

時代によって鍵盤楽器の奏法は変わってきました。当然ながら指の角度も、鍵盤にかける重さも、腕や身体の使い方も。それらに寄り添えるしなやかな感性と肉体をキープし、精進していきたいとあらためて思いました。

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