湯河原町民大学

4月16日、第60回湯河原町民大学が湯河原観光会館で開催され、音楽学の礒山雅先生、バリトンの田中純さん、メゾソプラノの井坂惠さんとご一緒させていただきました。
湯河原町民大学開講60周年記念の催しです。開演前、湯河原町の冨田幸宏町長さんにお目にかからせていただきました。
事業が60年継続するというのは、本当に凄いこと。事業を担当されておられる方々の努力、そして会館に集まってこられる地元の皆様の熱意相まってのことだと思います。客席で聴いてくださる皆様の音楽への集中力の高さも、その象徴。その熱気の中、熊本の皆さんのことも思い、心の中で祈りを込めて弾かせて頂きました。
「なつかしい世界の歌、日本の歌」と題された演奏会、シューベルト<楽興の時>第3番、中田章<早春賦>ピアノ版(久元祐子編曲)などピアノソロも含め、バラエティーに富んだプログラムでした。
<別れのブルース><湯の町エレジー>など、私にとり初めて聞く歌もありましたが、<夜明けの歌><少年時代>など懐かしい歌も登場。歌は社会を映し出す鏡のようでもあり、メロディーの向こうに当時の社会が見えてくる感じがします。 聞いたことのある歌は、その頃の自分の精神状況なども思い出し、郷愁を覚えます。歌が記憶の中の様々なシーンを呼び起こすのかもしれません。私自身、普段ほとんど後ろを振り返らないタイプの人間で、ひたすら前を向いて歩いている感じなのですが、時間がゆっくり過ぎていた頃に聞いた歌を演奏し、味わうことで、生きてきた時間を振り返るきっかけとなりました。 国木田独歩、夏目漱石、芥川龍之介など多くの文人を魅了してきた湯河原。 ツツジ満開の温泉郷、リハーサルの合間には、観光会館のテラスに出て滝の音と遊歩道の緑に癒されました。 いつか再び訪れるときには、文豪の足跡を辿って街歩きをしたいと思っています。 image

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