山の日に想う。

今日は山の日。2014年から始まった祝日。山に感謝の一日です。

冒険家、登山家の方のエッセーを読むのが好きでしたが、自分が冒険したり登山したり、、、ということは考えたことがありませんでした。でも昨夏は、たくさんのコンサートが中止になり、その時間、私にとっては少しハードな山登りに何度か挑戦しました。一歩一歩登っているときには、あまり意識しなかったのですが、写真を見ていっせいに驚く周りの友人達の反応に驚いています(笑)。


(根石岳山頂より、東天狗岳を望む)

「え~!危ないじゃない。素人が。」というのが第1声。たしかに、登山には常に危険が伴います。滑落、遭難、怪我・・・。モンベル山岳保険に入ってはいますが、命を落としてしまったら保険でなんとかなるというものでもありませんし、骨折してヘリコプターで運んでもらう、というのもできれば避けたいシチュエーション。

以前、三浦雄一郎さんとお話しさせていただいたとき、「スポーツは危険を伴うから面白いし、やめられない。」と仰った言葉が忘れられません。演奏の世界も、聴こえるか聴こえないかのギリギリ極限のピアニッシモや、落ちるか落ちないかの崖っぷちのスリリングな表現を目指すのが演奏家の気概ですが、全霊で音に魂を込めた結果、よしんば大失敗したとしても、大恥はかいても命を落とすことはありません。

けれど登山はそういうわけにはいきません。一歩誤まれば命を落とす、という緊張感とともに瞬時に決断し足をベストの位置に運ぶ経験は、超初心者ではあっても、ほんの少しだけ自分の体幹を鍛えたように思います。
「山がそこにあるから登る」という山に魅せられた人々の命懸けの挑戦、モンブランやエベレスト登頂を果たす偉業を成し遂げる方たちの精神と肉体には心からの尊敬の念を抱きます。

『アルプス山嶺に消ゆ』は、26歳の若さでアルプス山嶺で消息を絶った伝説のフルーティスト加藤 恕彦氏の両親への書簡集です。パリに留学しミュンヘンコンクールに入賞し、美しいイギリス女性マーガレットと結婚。さあ、人生これから、という矢先。山に魅せられた音楽家の悲劇は、「自然への畏れ」を私達に残してくれました。

今年は演奏会が続いており、しばらく登山は休止状態。せっかくの体幹ももとに戻ってしまったかも?!

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