Let’s fly (飛ぼうぜ)!!

昨日は紀尾井ホールで行われたハイドン・フィル演奏会を鑑賞。ハイドン交響曲第96番『軌跡』とベートーヴェン『ヴァイオリン協奏曲』(中村太地さんのソロ)というプログラム。当日順番が入れ替わり、『奇跡』が後半に。ティンパニーの惚れ惚れするような切れ味、コンサートマスター、ダニエルさんはじめ弦楽器ののびやかで滑らかな音色、管楽器の表現力。あらためて秀逸なオーケストラだと実感しました。チェロ以外皆立奏の迫力!

今朝は、昨夜からステージ上に留め置きになったベーゼンドルファー280VC「ピラミッド・マホガニー」で一人リハーサル・スタート。11時にオケのバスが到着し、笑顔で楽団メンバーがホール入り。到着後しばらくして、ドンドンと私の楽屋をノックする音。開けてみると興奮気味のマエストロ、エンリコ・オノフリ氏。「触ってもいい?こんな美しいピアノ、見たことない!」
マエストロは、静かにモーツァルトのファンタジーKV397を弾き始めました。「姿だけでなく音色も夢のようだ!」とご満悦。

本番のステージに出る前に、私の耳元で一言。「Let’s fly(飛ぼうぜ)!!」ヨーロッパの音楽家と共演する時、よく言われる台詞は「Let’s enjoy(楽しもう)!」ですが、「飛ぼうぜ」は初めて。
その言葉通り天空を駆け抜けるような、自由で大胆なタクト。美しい旋律を愛で、アグレッシヴに、ドラマティックに対比を表現するマエストロでした。


撮影: 横田 敦史氏

後半の《運命》は、熱狂的に繰り広げられる、血潮が迸るような演奏。アンコールは交響曲第96番《軌跡》第3楽章。オーボエの生き生きとした音色と揺れるリズムは忘れられません。

体操選手のように軽やかにステージに登場するマエストロは運動神経抜群。サイン会の後、オーケストラメンバーが待つバスに向かい、一人、スーツケースを持って全力疾走するオノフリ氏の姿を目撃した親友。「カール・ルイスみたいな前傾姿勢で凄いスピードだった」とか。ヴァイオリニストのオノフリ氏は、歌うし、ピアノも弾くし、ホルンも吹くし・・・。マルチの才能に恵まれた音楽家。まるでトライアスロンの選手みたい!と思っていたのですが、これからはオノフリさんのことを「近代5種の選手!」と呼びたい。。。

ハイドン・フィル2023ジャパンツアー終了。たくさんのご来場のお客様、ベーゼンドルファー・ジャパン様、お世話になりました皆様に心からの感謝です。

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