桃の節句のリサイタル

神戸から新幹線で東京へ。「今日は素晴らしい快晴です。是非左手の窓をご覧ください」のアナウンス。

到着が、ちょうど東京マラソンの時間に重なり、東京駅は大混雑。地下鉄を乗り継いで、代々木公園駅からスーツケースを持ってHAKUJU HALLへダッシュ!所属事務所の社長さんが、以前スーツケースと共に転倒し大怪我をされたことがあり、「あぁ、こういう走り方しちゃいけないなぁ」「横断歩道をこんな風に渡ったらいかんな」と内心思いながら全力疾走。自分にとっての東京マラソンになってしまいました。なんとか後半に間に合い、三木香代先生のリサイタルへ。

ノクターンop.48-2、マズルカop.50 、即興曲第3番、子守歌、バラードを端正に誠実に丁寧に美しく奏でられた三木先生。大学やご家庭での忙しい時間の中で準備を着々と積み重ねてこられた成果が音楽に昇華。知的で力強いショパン像を感じました。「好きなマズルカです」とご挨拶されアンコールで弾かれたマズルカop.59-1。私も大好きな曲なのですが、闇と死と絶望を感じるイ短調の名曲だと感じています。先生はむしろくっきりと描かれた舞踏の要素を全面に出しておられました。

夜は井上郷子先生のリサイタルへ。伊藤祐二作品集と題し、伊藤祐二氏の作品のみで構成されたプログラム。オペラシティのリサイタルホールは超満員。「いやー、驚いた、現代曲の演奏会とは思えませんね。」と顔見知りのカワイ楽器のスタッフの方の一言。井上先生が1991年から続けてこられたリサイタルシリーズ33回目。まさに「継続は力なり」。スコアの隅々まで目配りされたパフォーマンスが、作曲家からの信頼の厚さに繋がっているのでしょう。国立音大でも私がコーディネータを務める大学院の授業などで「ピアノ拡張奏法」や「日本の現代音楽~近藤譲を中心に~」のご講義をしていただいたことがあります。

演奏会の白眉は長島剛子先生(ソプラノ)を迎えて演奏された『ヴァシレ・モルドヴァンの7つの詩』日本初演。ルーマニアの俳句協会会長でもあるヴァシレさんの俳句集「月のいまだ見えざる顔」に曲がつけられたのが2002年。「月」を題材に、神秘的で静謐な世界と悲しみや孤独の姿が舞台に浮かび上がりました。俳句がルーマニアでも愛好されている事も驚きでしたが、ルーマニア語の響きの美しさにも引き込まれました。

桃の節句の今日、先輩、同僚女性の活躍に拍手を送った一日でした。

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