35歳のイタリア人ピアニスト、アレッシオ・バックス教授のミニコンサートと公開レッスンが国立音楽大学講堂小ホールで行われました。わかりやすく丁寧な教授法で、学生の人気も上々の先生です。
はじめに、多彩な音色と自然な奏法で、ムソルグスキーの「展覧会の絵」が演奏されました。ムソルグスキーの土の香りというよりも、オーケストレーションされたラヴェルの編曲を思わせるようなリリカルで美しい演奏。そして組曲それぞれのキャラクターの多彩な描写、ピアニッシモからフォルテッシモまで完成度の高いテクニックを駆使した見事な「展覧会」の絵でした。
朝、エレベーターでお会いしたときもそんなに大柄な体型ではなかったのですが、そのスマートな体をうまく使い、最後は、椅子から乗りあがるような姿勢でのフォルテッシモで、ロシアの「鐘」の音型が奏され、ピアノをオーケストラのように使う表現という面で、大いに刺激的な演奏でした。
普段聴きなれた音に、オクターブ下の音が加えられたり、違う音型が挿入されたり・・・というバージョンで、効果をあげていました。
演奏に対して、行われる「レッスン」では、何について一番多く指摘が行われるかによって、その教授の”音楽観”とピアノという楽器に対する考えが現れます。
スクリャービンのソナタでの、テンポについての厳格な指導、そして、音色についての提言などバックス教授の音楽の仕上げ方、楽譜の読み方は、熱心な学生にとり、得るところの大きい時間となったのではないでしょうか。
コメント
「展覧会の絵」も、
いろいろあるのですね。