ニーノ・ロータのオペラ

国立音楽大学音楽研究所・オペラ演奏研究部門2012年度公演が、講堂大ホールで行われました。
今回取り上げられた作曲家、1911年生まれのニーノ・ロータは、映画音楽も手掛けているイタリアの人気作曲家です。
「ラヂオ・オペラ」2作品が取り上げられました。
「ラヂオ・オペラ」は、ラジオで放送されることを目的として創られたオペラです。目からの情報がない中で状況を伝えなければならず、情景や仕草は、すべて歌と音のみで表現されます。
今回上演された演目は、昨年、日本初演された「ノイローゼ患者の一夜」。今年さらにバージョン・アップして再演されました。
もうひとつは、今回日本初演となる「内気な二人」。

「ノイローゼ患者の一夜」では、主人公、小鉄和広さんの患者ぶりが、去年よりもさらにリアルに。ノイローゼの人を演じているというより、ノイローゼの人がオペラに出ている・・・という感じすらしてきてしまうほど。
オペラを愛し、歌い手の生理を知り尽くした河原忠之先生の指揮は、歌手陣と熱演オーケストラをまとめ上げます。今回登場の小林菜美さんは官能の旋律を歌い上げ、フロント係を演じたバスの森田学さんは、自信に満ちた演技に一段と磨きがかかったようでした。
楽しい合唱のメンバーの踊りなど、あっという間の45分でした。

後半の「内気な二人」。
愛し合っているにも関わらず、内気なために告白することができず、それぞれ別の相手と結婚することになってしまった男女。集合住宅を舞台に、語り手の「靴職人」によって状況説明がされていきます。久保田真澄さん、岩森美里さん、井ノ上了吏さん、松原有奈さんらが、キャラクターを見事に演じて、客席からは、ブラボーの声が。

目をつぶって聞いていてもドラマがわかるようにできているオペラなのですが、芸達者のオペラ歌手のみなさんの演技によって、2倍にも3倍にも楽しいオペラとなりました。
緊張感を伴う高いテンションが続く音楽で、かたときも気を抜けません。おそらくは1時間以上は無理、という感じの凝縮ドラマ。
総監督の小林一男先生のもと一丸となって作られた舞台に、惜しみない拍手が送られました。

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