カプレーティ家とモンテッキ家

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午後から新国立劇場オペラパレスへ。
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藤原歌劇団公演 ベッリーニの《カプレーティ家とモンテッキ家》を鑑賞。
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山下一史氏指揮の東京フィルハーモニー交響楽団、松本重孝氏の演出です。初日の今日は、向野由美子さん(ロメオ)と高橋薫子さん(ジュリエッタ)組。
ピュアで繊細な歌声で紡ぎだされる悲恋の物語に浸った3時間でした。折しも今年はシェイクスピア没後400年。恋と死は古から人々を惹きつけ続けるドラマなのかもしれません。
ベッリーニは1801年シチリア生まれ。34年に満たない若さで天国に旅立った作曲家です。モーツァルトよりもさらに短い命でした。
ベルカント、まさに美しい声のための美しい旋律!高橋薫子さんのピンと張り詰めた透き通る声は、ジュリエッタそのものでした。決して芯がぶれることがなく、それでいてしなやかに感情を表現。圧巻でした。
そしてこのオペラの最大の特徴は、ロメオがズボン役のメゾソプラノによって演じられることにあります。溶け合い、1つになる響きは、女声の二重唱ならでは、の世界でした。
男性が居並ぶ舞台の中で、華奢な女性2人。危うさと若さが強調され、不思議な美しい舞台となりました。
情熱の赤が印象的な第一幕、純愛の白い死の床が据えられた第二幕。装飾が施された流麗な幕開けからハ短調の悲しみの幕切れまで、悲劇の砂時計が一気に落ちてゆくような凝縮感がありました。
私にとり、一番印象的だったのはジュリエッタがお父さんに許しを乞う場面。ベッリーニの美しい旋律と薫子さんの可憐な姿が光る名場面に涙した一瞬でした。
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このオペラが初演されたフェニーチェ歌劇場の夕暮れの情景、母と旅したヴェローナの街などを思い出しながら帰途に着きました。
高橋薫子さんとは来月1日、モーツァルトやプッチーニでご一緒させていただく予定で、楽しみにしているところです。

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