神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会@みなとみらい

第352回 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会にモーツァルト:ピアノ協奏曲第20番のソリストとして出演させていただきました。4月にも紀尾井ホールでご一緒させていただいたかなフィルのみなさん。4ヵ月ぶりの再会が嬉しい共演でした。指揮は、ユージン・ツィガーン氏です。

夫が「カリスマ指揮者への道」というショルティ国際指揮者コンクールのドキュメンタリー番組を録画していて夕食を食べながら何気なく一緒に見ていた折「第2位ユージン・ツィガーン」と審査委員長が発表するシーンがあり「あ!!今度共演するの!」と叫んだのが1週間前。どのようなモーツァルト像をアプローチされるのか、期待して臨んだ演奏会でした。

初対面のユージンさんは、気さくでオープンマインド。「君はこの曲のプロファイル、どんなふうに考えている?」と聞かれデモーニッシュなキャラクターのこと、オペラのシーンのこと、お父さんレオポルトとのこと・・・など諸々モーツァルト話で意気投合。

「俺はこんなアイディアがあるんだけど、試してみない?」「俺絶対オーナメント入れたほうが好き。自由にやってほしいな。」と楽譜を見ながら2日間打ち合わせが続きました。お互い気付くと休憩時間返上。
オーケストラとのリハーサルは、時計を譜面台に置き、きっちりとパンクチュアルに行うマエストロですが、ピアノ弾きの私とは「こういう話すると終わらなくなっちゃうよね~」と練習場の隅のピアノや指揮者控室で延々と意見交換が続きました。音楽への情熱にあふれ、果敢に攻めていくチャレンジ精神とエネルギッシュなパワーがはちきれんばかりの37歳。安全運転はしたくない!「Take a risk!」が信条のようでした。

台風上陸を前に、ユージン旋風に煽られた感のあるリハーサル。「本当にここまでやっちゃっていいですか?」と聞いてくださった心優しきソロ・コンサートマスターの﨑谷さん。「もちろん!大丈夫!やっちゃってください。」とお願いしました。

第3楽章のラストシーン、ニ長調で駆け抜ける場面は、これまで何回も弾いてきている中で最速スピード。そしてみなとみらいにいらしてくださったお客様の集中度の高さに感動。まさに「皺ぶきひとつない」静けさの中で、奏者の集中度が増したことは言うまでもありません。崖っぷちを皆で走りぬいた達成感のある定期演奏会。

後半のショスタコーヴィッチの難曲第10番交響曲が終わり、鳴りやまない拍手が続きました。

かなフィルのみなさま、ユージンさん、そして時間・空間を共有してくださった皆様に感謝です。

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