安曇野の秋

あづみ野コンサートホールでのリサイタルのため信州入り。
たわわに実った稲穂が黄金色に輝き、八ヶ岳の秋の風景は、まるで絵葉書のよう。

車で穂高方面に走ると標高が下がるにつれ、すでに刈り取った田圃が増えてきました。刈り取りのタイミングはお天気、標高、日射時間など、様々な要素で決まるのでしょう。
自然が相手の毎日、農家の方のご苦労を思うと、お茶碗のご飯は一粒たりとも残さず大切にいただかねば・・・と思います。

朝10時半、ホールに到着。館長さんの奥様が笑顔で迎えてくださり、いつにも増して嬉しい瞬間でした。奥様は、先月足を怪我されて一カ月以上入院。
2000年6月のオープン以来、一日も休まずホールを支えてこられた元気な奥様でしたから「まさか!!」と本当に驚きました。
けれどリハビリを始める頃にはお医者様が驚くほどの回復ぶり!今日も他の人よりも元気に歩いておられ、思わず拍手してしまいました。よかった!
そしてなんと今日は、奥様のお誕生日。退院とバースデーのお祝い、そして感謝の想いを乗せて弾かせていただきました。

モーツァルトの晩年のロンドで始め、ソナタ㎸533/494。後半のショパンの夜想曲、幻想即興曲、ワルツなど。ウィンナートーンは、人の心を温かくしてくれます。
ホールのベーゼンドルファー(シュトラウスモデル)は、奥様が1音ポーンと鳴らした時、その美しさに涙があふれて「このピアノにしよ!」と仰ってその場で即決されたピアノだそうです。
まさに運命の出会い!

今日のコンサートは、感染を予防しながら、密を避けての入場制限。でも、いつもよりさらに心は密に・・・その空気が舞台にも伝わり、音楽をしていてよかった、と思える幸せな”信州時間”でした。
会場のチラシには「久元祐子22回目の出演!最多出演記録更新中」の文字が。自分でも信じられないくらいあっという間の22回です(笑)。

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