姫君の世界史 エリザベートと黄昏のハプスブルク帝国 

この夏上梓された小宮正安先生のご著書『エリザベートと黄昏のハプスブルク帝国』。

白いドレスを身にまとった妖艶なエリザベートの肖像画、ハプスブルク帝国の紋章が本の帯にも施された美しい表紙です。金とピンクの壮麗な歴史絵巻の頁を捲ると、そこには、エリーザベトを巡る葛藤、対立、確執が描き出され、美貌の陰に映し出される闇の部分が心に突き刺さります。

権謀術策の政治の世界、複雑な国際情勢、時代の波と伝統の中で抗い「私」を保とうとしたエリザベートの苦悩。
歴史の縦糸、横糸とともに、明快に「姫君」の人間模様、心模様を描く小宮先生の語り口に、一気に黄昏のハプブルク帝国にワープしてしまう1冊でした。

ハプスブルク王室御用達のベーゼンドルファー社創立は1828年。その9年後に生を受けたエリザベート。
激動のウィーンに想いを馳せながらウィンナートーンを奏でました。

昨日の西方音楽館での演奏会にTHライナーでお出かけくださった小宮先生。会場でお顔を拝見し、有難いのを通り越して恐縮至極。
でも、、、お優しい笑顔に甘えて、ベートーヴェンとモーツァルトについてコメントを頂戴したり、かねてから疑問に思っていた「マンハイム・ロケット」の音型のことを質問させていただきました。第5番のソナタのテーマの音型を、解散したマンハイムオーケストラへのオマージュという切り口で考えたことが無かったので、目から鱗!

「ヨーロッパ文化史スペシャリストの小宮先生のお話をお聴きできて嬉しかった!」とお客様からも大好評。

小宮先生のお言葉をお借りすると「貴族の庇護を受けながら、また楽器の限界ギリギリまで使いながら、遮二無二自分を表現したベートーヴェン。」
あらためて人間ベートーヴェンの「思いの強さ」を感じました。

コメント