紀尾井ホールでのモーツァルトK466

四谷の紀尾井ホールにおきまして第23回セレモアチャリティーコンサートに出演させていただきました。

高関健先生指揮の新日本フィルハーモニーとの共演です。
朝は汗ばむほどの快晴でしたが、夕方大雨が降ってしまい、お足下の悪い中、いらしてくださいました多くのお客様に厚く御礼申し上げます。

今回は、オールモーツァルトプログラム。「魔笛」序曲、ピアノ協奏曲K466,後半が「ジュピター」です。
礒山雅先生が、それぞれの分野からの3名曲について親しみやすくお話しくださり、大変好評でした。

高関先生は、誠実なお人柄で、楽団員からも慕われておられ、作曲家が残した楽譜を大切にされる方でした。
たとえば同じ音型でもノンレガートとスタッカートを明確に分けて演奏し、そういう中でのこまやかな表現を見逃さないアプローチでした。

オーケストラのメンバーの中に同級生や同僚の姿が見えるのは、心強い限りです。魔物が住むステージを常に助けてくださいました。モーツァルトのピアノ協奏曲は、管楽器、弦楽器とのかけあいは、まるで「会話」のよう。名手おひとりおひとりに感謝です。

後半のインタビューコーナーでは、「モーツァルトを弾いてきて若いときと今とでどう違うか?」という質問が。
何歳までを若いというのかはわかりませんが・・・という前置きで、
「若いとき見えなかったものが見えてくることがあります。たとえば単なる2つの音符だったものから、ため息やほほえみなど、様々な感情が伝わってくる。年を重ねるということは、そういう面で経験値が増えてくることだと思います。」とお答えしました。

「少ない音符で多くの感情を表すことのできる天才」という話題にもなりましたが、終演後、お聴きくださった山田洋次監督が「小津安二郎の映画や、志賀直哉の文学は、言葉や技法が少ないのに、多くを表現している。モーツァルトに共通するものを感じた」とおっしゃっておられました。

K466は、最後のコーダで短調から長調に転じます。苦しみを一瞬で「ごわさん」にしてしまい、陰から光へ変貌してしまうモーツァルトの大胆さ!
メインプログラムの「ジュピター」では時間軸と空間軸が一つになりエネルギーが会場いっぱいに広がりました。

アンコール「ディヴェルティメントK138 ヘ長調」の爽やかな演奏終了後は、夜桜見物ができるほどのお天気に。おてんとうさまも短調から長調へ転じた夜でした。

コメント

  1. yuko より:

    今回は、ピアノソロのアンコールはなしでした。ディベルティメントがコンサート最後のアンコールでした。ジュピターは、全て繰り返しあり、という演奏でしたし、お話やインタビューコーナーもありましたので。

  2. ひまじん より:

    アンコールは何を弾かれたのですか?